  リスボンのアウグスタ通りのふたり
  
リスボンは、大西洋に注ぐテージョ川の河口から約12km上流の右岸に位置する、
ヨーロッパ大陸最西端の首都である。
「7つの丘の街」と呼ばれる起伏が激しい土地である。
リスボンの海の玄関口であるコメルシオ広場。
リスボンのロシオ広場からテージョ川に面したコルメシオ広場までの一帯は、
バイシャ(低い土地という意味)と呼ばれる。
バイロ・アルトとアルファマのふたつの丘に挟まれたこの地域は、
基盤の目状の道路に商店、レストラン、みやげ店などが軒を連ねている。
リスボンで最もにぎやかな繁華街となっている。
ロシオ広場からバイシャ地区に入り歩行者天国のアウグスタ通りに行くと
カフェやレストランのテーブルが並び、いつも大勢の人たちで賑わっている。
アウグスタ通りの南端にある勝利のアーチをぬけるとコメルシオ広場にでる。
1755年の大地震で破壊されたマヌエル1世の宮殿があったことから、
別名テレイロ・ド・パソ(宮殿広場)とも呼ばれる。
1908年には、カルロス1世と皇太子が暗殺されるなど、
さまざまな歴史の舞台ともなった。
アウグスタ通りを勝利のアーチにむかってふたりが歩いていた。
遊歩道になっている通りにはオープンレストランが店を出している。
「この通りはいつも混んでいるわね。」
「しかたないさ。メイン通りだからね。」
「ここのレストランで食べているのは観光客ばかりね。」
「まあ、高いからなあ。」
「私も観光客になりたいわ。」
「そのうち、海外につれていくさ。」
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