ブドウの段々畑の前のふたり
ポルトからレグアまでローカル列車で2時間から2時間半程である。
ドウロ川上流地域を巡る際の起点として便利である。
ポルトから東へ約100kmの場所にレグアがある。
ポートワインの集積場として古くから発展してきた。
アルト・ドウロ地域の中心的な町である。
全長925km、スペインに源を発するドウロ川は、ポルトガル北部の山岳地帯をゆったりと流れ、ポルトガルを経て大西洋に注ぐ。
アルト・ドウロを呼ばれるドウロ川上流地域は、ポルトガルが世界に誇るポートワインの産地である。
川沿いには山の斜面を利用したブドウの段々畑が広がり、季節によって表情を変える美しい景観だけでなく、伝統的なワインの製造方法も世界遺産として登録されている。
ポルトから発車する列車は、19世紀にポートワインの運搬用として敷かれた路線を走っていく。
しばらくは、内陸部を走るが、ポルトから1時間半ほどでタメガ川を渡るとドウロ川沿いを走る。
レグアは、ドウロ川沿いの小さな町である。
夏のシーズンはクルーズ船や蒸気機関車も運行されている。
世界で最も風景がよいと言われているドウロ川沿いのハーフマラソンは、毎年参加者数で記録を更新している。
ピニャオンからレグアまでのドウロ川沿いのコースを2万人もの人々でにぎわう ドウロ地域で最大のスポーツイベントであり、35国籍からの21000人が参加している。
ドウロ川沿いの山や丘にはブドウ畑の棚田が広がっている。
岩場の肥えていない土地だからこそ、ブドウ作りには最適であるらしい。
ブドウは高い棚でなく、収穫しやすいように低く育てられている。
山の斜面の厳しい作業のブドウ作りは、ジプシーをたくさん働かせていた。
レグア駅の隣のピニャオン駅舎の壁には、ブドウ作りの様子をアズレージョに描いたもので飾られている。
ポルトガルの美しい駅のひとつに選ばれている。
そのレグア駅前の広場横のベンチにふたりがいた。
バックには、ブドウ畑の段々畑がみえる。
「君は、いつも美しいな。」
「そんなこと言っても何も出ないわよ。」
「お土産にワインを買っていこうか。」
「そうね。ポートワインはおいしいものね。」
「ワインはポリフェノールたっぷりだから、ますますきれいになるな。」
「そうよ、美容の見方なのよ。」
「ウイスキーもほしいなあ。」
「だめよ。せっかく来たんだからポートワインだけよ。」
「やっぱ、誤魔化されないか・・・」
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