超年の差のふたり
リスボンの代表的な祭りが6月にある。
6月13日に開催される『聖アントニオ祭』である。
日本でいうバレンタインのように縁結びの神の祭りである。
この日に結婚すると幸せになれるといわれている。
6月13日の当日より前日のほうがお祭りらしい。
夜9時からの中心であるリベルダー通りのパレードがある。
4時間以上もかかってチーム対抗のパレードである。
気合が入っていることは、衣装を見ればわかる。
夕方から夜には、リスボンの下町であるアルファマ地区では、
イワシを炭焼きにして食べるのである。
店の前だけでなく、普通の家の前でもイワシを焼くのである。
煙がもうもうと立ち込めているのだろう。
昼前から飾りつけの準備が始まっていた。
いろいろな色のモールなどで、店を飾り付けていく。
そのようすを見ながら歩いていくと、ふたりにであった。
おばあちゃんと孫であろうか。
はにかむ少年の顔がういういしい。
おばあちゃん子なのだろう。
「大好きなおばあちゃん、ずっと大事にするよ。」
「だから、もっともっと長生きしてよね。」
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