石のベンチのふたり
ポルトガル第二都市ポルトは、大航海時代を支えた古き商都である。
町の発祥は、青銅器時代の後期、紀元前8世紀頃である。
当初から、地中海と結ぶ重要な港町であった。
ローマ軍が進駐すると、ローマを結ぶ拠点となる。
その時代にこの町は、カレと呼ばれた。
カレの港、「ポルトゥ・カレ」がこの国に名ポルトガルとなった。
ヴィラ・ノヴァ・ガイアにシッパーの工場が集中している。
シッパーとは、ポートワインの製造・輸出業者のことである。
この工場でドウロからのワインを貯蔵し熟成、ブレンドしてポートワインへと仕上げる。
ポートは18世紀初頭にはすでに国際的商品になっていた。
特にメシュエン条約により、イギリス市場では7割以上も占めていた。
シッパーは何世代も住みつくイギリス人、ユダヤ系の人たちも多い。
川原の広場には、たくさんの人たちが憩いを求めてやってくる。
向い側のカイス・ダ・リベイラのレストラン街もよく見える。
まわりの目も気にせず、寝そべるふたりがいた。
いかにも硬そうな石の四角いベンチである。
ちょうど、棺桶にいいくらいの大きさである。
「ゆりかごから墓場まで」というフレーズを思い出した。
ふたりで、いっしょのお墓に入ろうね・・・
とは、話していないと思うが、末永くいっしょにいたいね。
|