待っているふたり
歴史を今に残すポルトガル第2の都市ポルト。
ドウロ川の南岸ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアは、ワイナリーが並んでいる。
昔は、ドウロ川上流から船でブドウを運んできた。
ブドウの樽を運んだ帆船のことをラベーロという。
普段は、川岸にラベーロが並んでいるだけである。
1年に1度だけ、ラベーロが動く日がある。
ワイナリーごとのラベーロに人が乗り込む。
帆を出して、海から岸までの競走である。
それが、6月24日のサン・ジョアン祭である。
ドウロ川クルーズの船着場の近くにいたふたり。
ラベーロの大会までまだまだ時間がある。
待ちくたびれたのか寝ころんでいた。
6月の陽射しは、ふたりをまぶしく照らしていた。
彼女の白い肌が日焼けしてしまうよ。
祭りというのは、口実でふたりでいっしょにいたいだけかな。
ふたりの時間は、ゆっくりと過ぎていく。
|