バス停のふたり
エヴォラの北東約45km、スペインとの国境近くにあるヴィラ・ヴィソーザの町。
ヴィラ・ヴィソーザとは、「樹木の茂った町」という意味である。
オレンジやレモンの林に囲まれた、緑豊かな美しい町だ。
15世紀初め、ブラガンサ侯爵家はこの地に住まいを定め、館を建設した。
レプブリカ広場はオレンジの街路樹になっている。
広場のベンチは、郊外から産出される大理石でできている。
エストレモス、セルバなどと並んで有名な大理石の産地である。
エヴォラからのバスは、1日に数本しかない。
バスに乗り遅れるとたいへんなことになる。
少し早目にバス停にくると、抱き合うふたりに出会った。
次にくるバスに彼女が乗るのだろうか。
別れを惜しむように悲しそうな彼女である。
ぼくだって、別れたくないけどしかたないんだ。
また、会えるから、少しだけがまんして待っていてね。
いつも夢の中で会えるのだから。
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