露天骨董市のふたり
大きな入り江、潟に囲まれた、水郷の雰囲気いっぱいのまちである。
コインブラとポルトのほぼ中間にある町がアヴェイロである。
ローマ帝国が支配する時代から豊かな漁業と牧畜の町であった。
中世の時代には塩と鱈の生産で繁栄し、人口はポルトを凌ぐ時期もあったらしい。
1575年、猛烈な大暴風雨で海への水路が完全にふさがれてしまう。
行き場を失った腐った水は疫病をも発生させて富も人口も一瞬に失ってしまった。
1808年の暴風の影響で一旦ふさがったはずの水路がまた開いたのである。
寒村になり果てていたアヴェイロに塩田、海藻から造る肥料産業、漁業がもどった。
町は再び活気を取り戻すのである。
レプブリカ広場では、露天骨董市場が開催されていた。
広場が骨董品の店で埋め尽くされていた。
骨董品は見た目は、ガラクタの集まりである。
個人の価値観により、ガラクタがお宝に見えるのである。
天気もいいし、犬の散歩にぴったりの日である。
いろいろなものに目移りしているふたりがいた。
ワンコは、「早く行こうよ。」とせき立てていた。
ほしいものがいっぱいなのだから、寄り道はしかたないよ。
だけど、1番ほしいものは、君だからね。
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