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☆アヴェイロ2の説明 (写真の上をクリックすると大きな写真が見れます。)☆
大きな入り江、潟に囲まれた、水郷の雰囲気いっぱいのまちである。
コインブラとポルトのほぼ中間にある。
ローマ帝国が支配する時代から豊かな漁業と牧畜の町であった。
中世の時代には塩と鱈の生産で繁栄し、人口はポルトを凌ぐ時期もあったらしい。
1575年、猛烈な大暴風雨で海への水路が完全にふさがれてしまう。
行き場を失った腐った水は疫病をも発生させて富も人口も一瞬に失ってしまった。
1808年の暴風の影響で一旦ふさがったはずの水路がまた開いたのである。
寒村になり果てていたアヴェイロに塩田、海藻から造る肥料産業、漁業がもどった。
町は再び活気を取り戻すのである。
「ポー君の旅日記」 ☆ 露天骨董市とモリセイロのアヴェイロ2 ☆ 〔 文・杉澤理史 〕 ≪2008紀行文・29≫ 寒さで、目が覚めた。冷房で震えたのではない。安宿には、冷房もなければ暖房装置もなかった。 ポルトガルに来て18日目の、北部ポルトガルの第2都市〈ポルト〉の6月22日(日)の朝は、単純に寒さで目覚めたのだった。 《アヴェイロに向かうポルトの朝》 安宿[サン・ジョルジェ]の朝は、部屋に乾してあった洗濯物の取り込みから始まる。 旅の7つ道具の一つ、100円ショップで買った洗濯ものを干すビニールロープ1本と洗濯バサミ20個を収納袋に収めた。 ここで、朝のモーニングタイムといきたいところだが、この宿は質素なモーニングもついていない。 承知で泊らせてもらった宿だ。買い置きのボトルの水を一口飲んだ。なぜか、せつない朝だった。 9時5分発のアヴェイロ行き列車まで1時間ほどあったが、早めに宿を出ることにする。 ポーはジャンパーを着て、リュックを背負い外に出た。 夏場のポルトガルだが、北部の港町〈ポルト〉の空は厚い雲で覆われていた。 『眠いね〜エ』と出てきた相棒は、『えッ、こんなに寒いんだ〜!』と吐き捨て、踵(きびす)を返し部屋に舞い戻った。 モコモコ姿に折りたたみ傘を握って再登場。まるで、真冬の朝のような装備姿に唖然。 笑った。確かに寒かったが、モコモコ姿は大袈裟過ぎる。でも、風邪を引かれるよりはましだ。 いつ降って来てもよさそうな雲行きではあった。 昨日までアレンテージョ地方の古都〈エヴォラ〉周辺の町を、炎天のもと散策を続けてきたが、それが嘘のような気候変化である。 エヴォラから500キロメートルあまり北上しただけなのに。 夏期であっても、ポルトガルも日本と同じように縦に長い国だ、気温差は当然あって当たり前であった。 【ポルトガルの気候】(ガイドブック「地球の歩き方」) その北部ポルトの朝、冷たい風を受けながら石畳の坂を上る。 坂道のてっぺんにあるバターリャ広場は閑散としていた。 広場正面にアズレージョで飾られた教会が凛(りん)と胸を張って建っている。 小ぶりな教会だが、はにかむ少女に似た可憐さがあった。寒さで震えるその少女を、相棒がカメラにそっと収めた。 広場から坂を下ると左手に〈ポルト〉の鉄道の玄関口[サン・ベント駅]がある。 20世紀初め修道院の跡地に造られた駅だ。高い構内ホールはアズレージョ画の博物館のようだ。 ポルトにまつわる歴史が、タイル何百枚も使って青い色で描き焼かれ壮大なタイル装飾画作品として美しく迫ってくる。 これを、ポルトガルのアズレージョ画と呼ぶ。 ポルトガルの何処に行ってもアズレージョは生活の中に溶け込み楽しませてくれる。 ポーにとっては、各地で残されているアズレージョとの出会い旅でもあった。 アズレージョを自分で焼きたいと思う夢はある。 相棒が切符を買ってきた。慣れたものだ。アヴェイロまで2.05ユーロ、40分ほどの列車旅である。 「けいの豆日記ノート」 《アヴェイロ駅舎》 大西洋を右手車窓から眺めながら35キロメートル南下し、10時40分に〈アヴェイロ〉駅に着いた。 モコモコ姿で身体が温まって心地よかったのだろうか、ぐっすり眠っていた相棒を揺すって起こした。 『終点だって判っていたから、ぐっすり眠ったよ、天気はどう?』相棒の、目覚めのご挨拶である。 モコモコ冬支度を脱ぎ捨てた相棒は『悪い!頼む』と、ポーのリュックにモコモコ一式をねじ込んだ。 リュックは、ぽっくり膨(ふく)れた。ワッオー、カッコ悪〜ゥ!の、リックを背負って列車を降りた。 6年前(2002年1月〜2月)に来た時のアヴェイロの印象は、ふたつあった。 一つは運河の岸辺に舫(もや)われ浮かぶ小舟だ。 船首がそりかえり、船体に色鮮やかなに描かれた絵柄が、背後の建物と一緒に運河水面に映る姿は幻想的に見えた。 もう一つは、アヴェイロ駅舎の白い外壁一面に飾られたアズレージョである。 真白い駅舎全体がまるで白いキャンバスで、青い絵柄のアズレージョはそこに描かれた作品のようだ。 冬の青空に包まれた駅舎は華やかに浮かび上がって見えた。ポルトガルアズレージョが好きになった出会いでもあった。 列車を降りた相棒が『ここは、アヴェイロ駅じゃない!』と、叫ぶ。 だがホームのプレートには、Aveiroの文字がある。 かつては、ホームから駅舎の改札口を通り外に出ると、駅舎の建物壁面にアズレージョが描かれていた。 しかし、前に来た時とは違い、ホームからエスカレーターで下って通路を通り、またエスカレーターに乗って外に出た。 アヴェイロ駅は大幅に新装されていた。観光地として人気が出たため、国の梃(てこ)入れがあったのかもしれない。 それは、アズレージョ駅舎保存が目的だったかもと思う。外に出て判った。 あのアズレージョの駅舎が新装駅の左手に凛(りん)と輝いていたからだった。 安堵した。嬉しかった。再会できた感動が、湧きあがっていた。 「けいの豆日記ノート」 《中央運河》 〈ポルト〉と大学の町〈コインブラ〉の中間にあるのが〈アヴェイロ〉。 アヴェイロは入り組んだ潟(がた)が内陸に食い込み、良港として16世紀に繁栄したが大風波で海とつながる水路が埋没。 19世紀に再び来た大風波により水路が開通。そして漁業の町として再生する。 自然現象で滅び、蘇(よみがえ)ったのだ。まさに、神風である。 モリセイロがある風景と再会するために、駅前から南東に一直線に延びるメイン通りを歩く。 長閑(のどか)に流れる運河も整備されていた。 運河沿いに洒落た大きなショッピングセンターができ、客で賑わっている。 相棒が敷地内に入りカメラを構えると、若い警備員が走り寄って来た。 顔の前で両手を上げバツ印をつくった。撮影禁止である。アヴェイロ美術館は日曜日なので無料。 嬉々と入館した相棒はがっくり、ここも撮影禁止。 でも15世紀に建てられた修道院が美術館になっていて、 厳粛な雰囲気の中でアフォンソ5世の娘サンタ・ジョアンナ王女の肖像画や王女の石棺(せつかん)、 それに中世ポルトガル絵画などを見ることができた。 特に、大理石に刻みこんだモザイク模様で飾られた石棺は、バロック様式の傑作と言われている。 見れば見るほど、その繊細さ華麗さ大胆さに引かれた。 6年前の冬場に来た時は、人影も少なく音もない静かな運河であった。 その運河に色彩艶やかな小舟が浮かび水面に映り込む。小舟はモリセイロと言い、かつて潟で採れる海藻肥料を積み上流の埋め立て地に運ぶ。そこが酪農地となった。モリセイロは、肥料運搬船であったのだ。 町の中央にある運河に架かる橋の上から眺めた。 そのモリセイロが今、運河を楽しませるエンジン付き観光船になって観光客を乗せ駆け巡っていたのだ。 運河水面に映る幻想美は皆無。水面が走りまわる波で荒れていたからだ。 20艘余りのモリセイロは観光客で満員。中央運河は、人の声とエンジン音で活気に満ちていた。 夏場が、稼ぎ時であった。 「けいの豆日記ノート」 《露天骨董市場》 橋を渡ったところにあるクラシックな外観の建物がホテルアルカダ。 その左手に[トゥリズモ(観光案内所)]のマークが見えた。 この地アヴェイロの地図と資料がタダで貰える。旅の友みたいなありがたい案内所だ。 アコーディオンの音色が聞こえてきた。当然、相棒は音色に向かって走る。 粋なおじさんが古めかしいアコーディオンを奏でていた。物乞いの演奏ではなかった。 おじさんの周りに古いアコーディオンが並んでいる。今日は慣例の露天骨董市があると案内所で知らされた。 中央運河に架かる橋から、ヴェラ・クルス教会前の広場に行く路地から路地は、300店余りの骨董店がぎっしり並んでいた。 露天商の数も凄いが、骨董を求めて集まる人の数が凄い。観光客も多かった。 しかし、骨董市は忙(せわ)しくないし意外と静かだ。動いて止まったら、しばらく動かない。 動くのは手と目だ。たまに声がする。商談である。市場大好き人間である相棒は、運河を泳ぐアヒルだった。 嬉々として路地から路地を抜け、シャッター音に酔っていた。 空は青く晴れ渡っている。今朝がたの寒さといい雨模様の雲はきれいに一掃されていた。 「けいの豆日記ノート」 ぽっくり膨らんだリュックを背負い、運河沿いにある乗車券売り場があるバス停に向かった。 ここから30分で行ける〈コスタ・ノヴァ〉行きの往復切符を相棒が買った。 当然相棒の、突然の発案である。旅は何時も流動的であった。 *「地球の歩き方」参照*
終わりまで、旅日記を読んでくださり、ありがとうございます。 次回をお楽しみに・・・・・・・2011年12月掲載 |
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