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ポルトガル写真集(博物館のアズレージョのベージャ2)
Portugal Photo Gallery --- Beja 2

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ベージャ37
市立博物館

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緑のドア

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ドナ・セオノール像

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窓枠の絵

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朝の公園

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バラ咲く公園

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工事中

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ペンキ塗り

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のぞく笑顔

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サッカー少年

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学生たち

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バスターミナルで

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子犬

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学校帰り

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図書館前

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カステロの庭園

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曲がり角

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女学生

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城壁の入り口

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博物館の管理人

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カルモ教会

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そびえるマリア像

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アズレージョの壁

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創作アズレージョ

   
 カテドラルとノッサ・セニョーラ・ダ・コンセイサン博物館の画像は、こちらからどうぞ! 

☆ベージャの説明 (写真の上をクリックすると大きな写真が見れます。)☆
ベージャはバイショ(下)・アレンテージョ地方の首都である。
リスボン、アルガルヴェ地方、アンダルシア地方のほぼ中間にあたる。
昔から交通の要所として栄えた。
紀元前1世紀にローマ人がイベリ半島支配の過程で植民都市を建設した。
711年にはムーア人がイベリア半島の支配下に収める。
イスラム支配の時代に「ベージュ」と改名され、現在の名称ベージャの語源になった。
ムーア人の支配は1162年まで続き、当時は活気にみちた町であった。
現在の人口は約3万6千人。小麦、オリーブ、コルクが主要産品である。

「ポー君の旅日記」 ☆ 博物館のアズレージョのベージャ2 ☆ 〔 文・杉澤理史 〕

≪2008紀行文・21≫
    === 第六章●エヴォラ起点の旅 === 博物館のアズレージョのベージャ2

          《ポルトガルブルーの空》

 軽食カフェで歯ごたえ充分な豚焼き肉料理を食べ外に出た。6月16日の午後だった。 所々城壁に囲まれた人口4万人余りのページャには、雨雲が流れ去り白い入道雲の背景にポルトガルブルーの空が広がっていた。 なんと美しい青空であろうか。ポルトガルに来るたびに、いつも惚れ惚れと仰ぎ見るのは空だった。

 青い実をつけたオリーブの木越しに、真白い壁面に石積の茶色い鐘楼塔が喰い込んだように見える建物があった。 サン・フランシスコ修道院を改築したポザーダ(国営ホテル)・コンヴェント・サン・フランシスコである。 ポザーダ前は石畳の軽い坂道になっており横断歩道の白線模様が描かれている。しかし、信号機はない。 道路には自動車もたまにしか走って来ない。古びた真っ赤な3輪自動車がゆっくり走ってくる。 相棒はカメラを向けシャターを切る。運転するハンチングのおじさんがニカッと笑む。 昼下がりのベージャは長閑(のどか)であった。

 雨雲がはびこっていた午前中のさびしげな町は、青空で一変した。 くすんで見えた家並みの白い建物が、陽射しで反射し浮き上がって来た。相棒は路地から路地へと抜け、シャッターを鳴らした。 ジャカランダの薄紫の花が青空に溶け込み、落下した花弁は石畳を染めた。 ジャカランダの花は、桜の花弁のようにはらはら舞い散る風情はない。椿の花弁のようにぽたぽた落ちる。 今年のジャカランダの季節が終わろうとしていた。 路地の上空には、ポルトガルブルーの青空が建物に挟まれ小川のように流れて見えた。

 「けいの豆日記ノート」
 ベージャに着く前は、雨模様だったのが、すっかり晴れてきた。 雲が多かった空が、だんだん青の占める割合が多くなってきた。 そうなると、はじめに撮った景色を撮りなおしたくなる。 やっぱ、青い空が似会うのである。  博物館は、入りたかったが残念なことに休館日だった。 なので、明日の朝一番で見にこようと思った。 中世のアズレージョの回廊が見ごたえがあるらしい。 アズレージョは町のいたるところにあるが、やはり伝統的な歴史あるアズレージョも見てみたい。

          《満月》

 地図を見ていた相棒が言う。
 『あのさ、ベージャから近いところに〈セルパ〉があるから、明日はここに寄り道してから〈エヴォラ〉に戻らない?』と。
 〈セルパ〉もガイド本には載っていない町だった。地図を見てもバスで1時間もかかるまい。 それに、もう二度と行けない町になるかもしれない。ポーは頷いた。 相棒は、満足気に歩きだした。バスターミナルに行って時刻表を確認した。 10時35分発に乗れば、40分で行けそうだ。撮影取材旅は相棒の閃きで決まる。 だから行動変更は自由である。方向音痴のポーに異存はなかった。

 夕方6時を過ぎていたが、太陽はまだ6月の名古屋でいうと4時ごろの天空で輝いていた。万歩計をポーは見た。 2万歩に500歩ほど残っていた。腹も減って来た。 今日はこれまでと、相棒は声を発し、スーパーマーケットへ寄って帰ろうと言った。 抜かりなく撮影中に確認していたのだ。 ポーが言う、スーパーマーケットの前を通うたっけ、と?相棒が言う、 あっちよ、ビニール袋を下げてくる人たちが、あっちから来るもん、と。

 宿に戻ってスーパーマーケットで買ってきた半切りスイカ(0.98)、赤ワイン700ml(1.97)、 計2.95ユーロ(502円)を食べ、飲んだ。 窓から、路地向こうのオレンジの屋根の上に満月が浮かんでいた。 白っぽく見える満月の中には日本でもお馴染みの、あのうさぎ模様が見えた。

 「けいの豆日記ノート」
 スーパーマーケットは、どこにでもある。 小さいスーパーは目立たない。 普通の家のようなドアだったりする。 巨大スーパーは郊外にできている。 町の中には場所もないし、景観も壊れるからなのだろう。 この町のスーパーは中くらいで、町の中にあった。 入り口奥ににカートがおいてあったのでわかった。 冷えたメロンがほしかったがなかったので、スイカにした。 スイカは、甘くないのであまりおいしくない。 メロンの半分まるごと食べるのは、日本では考えられないなあ。

          《恐怖の早朝》

 翌早朝6月17日、窓の外の物音で目が覚めた。腕時計を見る。7時だ。 窓を開けると、薄暗い朝の空を何百何千もの黒い塊(かたまり)がものすごい勢いで動いていた。 その黒い塊は大きなツバメであった。日本で見るより2倍も3倍も大きなツバメが飛び交っていた。 日中では見られない光景に唖然とし、少し腰が引けるほどポーは怖かった。推理した。 夜明けのこの時間に限り、ここで何かの飛ぶ虫が発生するのかもしれないと。 でなければ昨日、飛びまわるツバメが日中でも見られたはずだ。それもでっかいツバメだ、気づかぬはずがない。

 8時に宿を出た。ここベージャを発ってセルパに行くまで、2時間30分ほどある。 真白い裁判所の建物を過ぎ、看板に植物庭園と書いてある鉄門を相棒が入って行った。 初めから計画して行った庭園ではなかった。相棒の旅の流れだ。庭園は思ったより広い。 ここでもジャカランダの花が迎えてくれた。薄紫の花弁を通路に絨毯のように敷き散らし。

 池があった。鴨の家族がのんびり泳いでいた。生まれて1週間もたたない赤ちゃん鴨が4羽朝日を浴びて親の後を追っていた。 3羽は黒っぽく、1羽は金色だった。 ひよっとしたら1羽は白鳥に変身するかもしれないね、と吐き、相棒はシャッターを押す。

 「けいの豆日記ノート」
 博物館は昨日は休みだった。 なので、セルパに行く前に見ることにした。 開場時間には、早かったので町を探索することにした。 公園では、係りの人が水撒きをしていた。 バラの花が咲き、池にはカモが泳いでいた。 どこの公園でも手入れが行き届いている。

          《私立博物館のアズレージョ》

 外部装飾が凝った白壁のノッサ・セニョーラ・ダ・コンセイサン教会に出た。その建物の横に細身の女性立像が建っていた。 [ハイーニャ ドナ レオノール 1458−1525]と台座に刻まれていた。マヌエル一世の姉だと知る。 ここは彼女が開いた女子修道院であった。美しい像だった。ポーはどこかで見たような姿だと思う。 そうだ、6年前(2002年)確かに目の前の立像とそっくりな姿に出会った記憶がある。 コインブラ(ポルトガル第3の都市)だった。

 モンデゴ川を挟んでコインブラ大学と反対側の丘の上にバロック様式の新サンタ・クララ修道院があり、 その正面に、町を見下ろす白い大理石で刻まれた女性立像が建っていた。優しい表情の彼女はサンタ・イザベル。 その女性像と姿かたちが目の前にしているレオノール像とそっくりだった。 レオノール像は薄い緑色だった。大理石ではない。銅像だ。緑色は長い年月が作った緑青(ろくしょう)だろう。 それにしても、ふたりの立像は瓜ふたつであった。ポーにはそう見えた。

 そのノッサ・セニョーラ・ダ・コンセイサン女子修道院は、いま私立博物館になっていた。入館料2ユーロ。 朝一番。当然客は誰もいない。館内は天井に近い明りとりの窓から差し込む明るさだけ。暗かった。 目が慣れてくると、その暗さの中に浮かび上がってくる礼拝堂はバロック様式の装飾に満ちていた。 柱といわず壁面はごてごてした飾り細工であり、彫像だらけであった。彫像の中の胸も露わな女性像が気になった。 宗教的に場所柄異質に感じた。

 正面の祭壇にはマリア像が金色の中で浮かんでいる。 そこだけに明りが灯っていた。マリアの立像の姿もイザベルやレオノールと同じ衣装を着ている。 壁面に500枚以上のタイルで構成されたアズレージョ画(青いタイル画)が目を引く。 マリアが生まれたばかりのキリストを懐に抱く。その周りを豊満な姿の女たちが囲む。 明るいところで見たら、その青さの美しさは格別に違いない。 なぜなら、このアズレージョは紫外線に当たっていない、と思われる。 500年以上も前からこの修道院は存続しているのだ。相棒はフラッシュを使わず、撮っていた。 それでいいのだ。発表できる作品としては無理だろう。あきらめた相棒は回廊の方に出ていった。

 長い回廊は圧巻であった。広い飾窓から流れ込む陽射しが回廊を優しく包む。 そのやわらかい明るさの中で、両サイドの壁一面に幾何学模様のアズレージョが迫ってくる。壮観が続く。 次の回廊は絨毯模様のアズレージョだった。 15世紀初めアラビアからスペインを経由し、ムーア人からポルトガルに入って来たアズレージョだが、 今やアズレージョといえばポルトガルアズレージョといわれるほどに根付いたのだ。 いま見ている回廊のアズレージョは17世に作られたらしい。 それにしても、アズレージョ好きなポーにとっては嬉しい出会いであった。

 「けいの豆日記ノート」
 ベージャの町の見どころは、博物館といってもいいほどである。 博物館の写真を撮っても資料にはなっても、発表する写真にはならない。 なので、いつもは時間をかけて見ることはない。 でも、ここのアズレージョの回廊は、ぜひ見たかった。

          《修道院の伝説》

 この修道院には、イタリア・ヴェローナを舞台にしたロミオとジュリエットの話とよく似たロマンチックなエピソードを残した窓が 当時のまま復元されている。 3階の窓から広場が見える。 事件はナポレオンの軍隊が町を占領したときにおこった。 窓越しに広場を眺めた修道女のマリアナが、ハンサムなフランス軍司令官に恋をしてしまった。 マリアナは彼宛てに合計5通の恋文を送ったという話である。

 当時の女子修道院は、貴族や上流階級の子女を預かる場所であった。 ナポレオン軍将官の軍服は色彩も鮮やかで煌びやかであり、戦いの先々でもてはやされた。 パリのファッションに身を包んだ美男子に思いを寄せてしまったのかもしれない。 ただし、現存する5通の恋文はフランス語への翻訳文であり、原文がないため創作された話だとする説もある。 今もいろいろな推測がなされている。 日本でも「ぽるとがる文」という題名で翻訳された。

 この博物館にはローマ遺跡から発見された遺品や、遺跡発掘の写真も展示されている。 この地はローマ時代にとり、スペインのメリダと並ぶ最重要都市であった。 町から南西十キロの場所で、ローマ時代の別荘の発掘が行われている。 紀元前1世紀の別荘で、床のモザイク模様、装飾壁の部分、浴室、水浴用プール、 床下暖房などがすでに発掘されている。 また北約30キロには、4世紀のローマ時代に造られたサン・ククファテの大規模な遺跡がある。

 10時35分発のバスまで20分を切っていた。 博物館に1時間もいたのだ。何時ものことながらバスターミナルに走った。 ポルトガルブルーの惚れ惚れ青空が、天空からあきれて見つめていてくれた。

                              *「地球の歩き方」参照*

終わりまで、旅日記を読んでくださり、ありがとうございます。 次回をお楽しみに・・・・・・・2011年4月掲載

 カテドラルとノッサ・セニョーラ・ダ・コンセイサン博物館の画像は、こちらからどうぞ! 

 ≪ポルトガル写真集&紀行文・2008年版≫ バックナンバーは、こちらからどうぞ・・・

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Lisboa 5
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Sintra 3
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