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ポルトガル写真集(子供が多い城壁の町・ポルタレグレ2)
Portugal Photo Gallery --- Portalegre 2

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ペンサオン前の道

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市庁舎

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泳ぐ雲

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市庁舎前の水飲み場

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下り坂

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上り坂

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デザインされた石畳

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市立博物館

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サン・ロウレンソ教会

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シスター

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教会のファザード

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教司の説教

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カテドラル

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6月19日通り

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立ち話

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私のほしいもの

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国旗付きバイク

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イケメン?

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音楽教室の生徒たち

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元気な仲間

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家族でお出かけ

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さっそうと歩く

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いつもの指定席

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ネコとハト



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人気のキャラクター


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タバコ自販機

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雑誌

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アイロン



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コーヒーメーカー


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時計

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コルクの容器

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アレンテージョの陶器

☆ポルタレグレ2の説明 (写真の上をクリックすると大きな写真が見れます。)☆
スペイン国境に近いポルタレグレは、古くから戦略上の要にあった。
1290年にディニス王によって城が築かれた。
16世紀以降はタペストリーやシルクの生産地として栄えた。
当時ブルジョアたちが築いたバロック様式の邸宅は今も町のあちこちに残っている。
背後に自然豊かなサン・マメーデ山脈をひかえ、マルヴァオンを訪れる際の起点となっている。

「ポー君の旅日記」 ☆ 子供が多い城砦の町のポルタレグレ2 ☆ 〔 文・杉澤理史 〕

≪2008紀行文・9≫
    === 第四章●アレンテージョ地方のポルタレグレ起点の旅B === ポルタレグレ2

          《その日の午後》

 旧ユダヤ人街があった中世の香りを残す〈カステロ・デ・ヴィデ〉の城郭(じょうかく)の町を、 5時間以上も歩きまわり腰につけていた万歩計も16387歩を刻(きざ)んでいた。 朝の始発バスでお世話になった赤いネクタイのおじさん運転手に相棒は感謝の折鶴を渡し、 その笑みをいっぱい背に受けて〈ポルタレグレ〉のバスセンターから宿に向かう。 天空の青空からは、ポルトガルの夏場に入った陽射しが燦々(さんさん)と照りつけている6月9日(月)の午後3時過ぎであった。

 「けいの豆日記ノート」
 カステロ・デ・ウィデから、ポルタレグレに戻った。 なんせ、バスの時間が選べないので、この時間に帰らないといけなかった。 夏時間は、日の入り時間が遅いので、これからでも充分にポルタレグレの町を散策できる。 その前に1度、ペンサオンに戻ろうと思った。 写し終えたフィルムやSDカードを置いてくると荷物が軽くなる。 少しでも余計なものは持ちなくないのである。 それに、トイレにも行きたいし・・・

          《トイレは積極的に》

 夕焼けが彩る夜の9時までたっぷり5時間はあった。 宿の〔ペンサオン・ノヴァ〕の3階の部屋で買い置きの水を飲み、トイレを済まし、ポルタグレの町に飛び出した。 トイレはその気がなくても便座に尻を置くべきだ。不思議と出るものである。 日本であればトイレには困らない。 公園にも町中にも公衆トイレはあるし、なければ何処に飛び込んでもトイレには困らない。 コンビニでもパチンコ店でもスーパーマーケットでもラーメン屋でも、切羽詰まれば交番でも用は足せる。 だが、見知らぬ地ではそう簡単に用は足せない。だから、トイレがあれば、積極的にいざ便座へと行動すべきなのだ。

 列車の駅舎やバスターミナル、それにレストランなどのトイレには便座(あのU字型)がない場合が多い。 ないと、尻がストーンと落ちる。つまり、尻が抜けなくなる。考えただけでも、それは悲参だ。 また、トイレのドアの鍵が壊れている場合が多い。 相棒に何度も聞かされたが、女性トイレの鍵は役立たないところが多いらしい。 だから必死こいて、ノブを力いっぱい引っ張って用をたす。でないと、ご開帳になる。 くれぐれも女性の方はご用心あれだ。

 「けいの豆日記ノート」
 外の公共トイレはあんまりすすめられない。 これは、ポルトガルに限らず日本でもそうである。 公共のトイレは、なるべく入りたくない。 なので、カフェとかに借りることになる。 カフェに入れば、飲み物を頼まなくてはならない。 なるべくムダな出費は、おさえたいのである。

          《猫と鳩》

 青い空に白い雲が浮かんでいる。両側の建物で切り取られたその狭い空模様を見ながら路地を登る。 道幅3メートルほどの石畳が曲がりくねり、その路地は下ったり、また登ったりする。景観がそのたびに変化する。 だから、散策していても町の景観にあきない。振り返れば、別の景観が飛び込む。 そのたびに、相棒のカメラのシャッターが鳴く。振り返る散策が、旅には必要なのだ。 この仕草は、旅をする際のポイントになる。振り替え美人の景観に、ぞっこん惚れ込む時が多い。 前進だけが旅の景色ではなかった。

 石畳の路地に、猫が1羽の鳩を凝視していた。猫の視線に相棒はカメラを向けしゃがみ込む。 鳩と猫の距離は40センチメートル。ひと飛びすれば猫が勝利する距離であった。 間違いなく、猫の狩猟範囲だ。猫は、飛躍どきの動作を尻に伝えると尻が、もぞもぞしだす。 飛びつく瞬時の準備だ。その時、鳩はちらり猫の動きを流し眼して、ニャン子を視野に収める。 猫は、じりじり左右に腰を動かすステップを踏む。鳩はニャン子の動きにせせら笑う目線を射る。 猫が、飛びつく。身をさっと事もなげに交わす鳩。猫は爪を激しく掻く。石畳みに爪痕の線が残る。 鳩はクックッと鳴く。あたかも笑い遊びのように鳴く。 この猫と鳩は、長年の知友なのかも知れないとポーは思った。

 「けいの豆日記ノート」
 ニャンコは、毎日、エサをもらえるので、お腹いっぱいなんだよ〜  すばしっこいハトを捕まえようなんて思わないよ〜 動くだけ、面倒だし、お腹がすくから見逃してやっているんだよ〜   あ〜あ 眠い・・・   な〜んてね

          《ポーズが決まる子供たち》

 白い壁にオレンジ色の縁取りが塗られた建物から、路地を曲がったところで小さな広場に出る。 扇型の10段ほどの石段の上に扇型状の踊り場があり、10人以上の子供たちが円座を組み話し合っている。 ちょっとした会議風景模様だ。相棒のカメラが嬉々としてシャッター音を鳴らす。 建物の入りくち横に大きな字が見える。持参の小型〈ポ日辞典〉で確かめる。 〈講堂・市立劇場・慈善団体の教会〉と読めた。 入りくちの奥にも、手に楽器を持った子供たちの忙しそうな姿が見え隠れしている。 子供たちの演奏会があるのかもしれないと推理する。だが相棒は、推理の結論をこともなげに吐いた。

 『あした、6月10日は、〈ポルトガルの日〉だよ。そのための、準備かもね。』  ポルトガルの日、つまりポルトガルの建国記念日である。 カモンイスの命日で、〈ディーア・デ・ポルトガル〉と呼ばれている。命日が国の記念日だ。 さすが、カトリックの国、神に召された日が記念日だった。

 赤い帽子の女が、笑顔で手を振ってカメラを向けると、12〜3歳の子供たちの円座が崩れ立ちあがり互いに肩を寄せ合い、 ひとりひとりの笑顔が弾け決めポーズで応えてくれた。 明るく楽しい、笑顔であった。 ありがとう!あしたは頑張ってね!と、子供たちに手を振って、声をかける相棒もすがすがしい。 『こんなに沢山の、子供たちの笑顔を撮ったのは、初めてだよ!』と、相棒も嬉しげであった。

 「けいの豆日記ノート」
 ある建物の入り口に、子供たちが次から次へと入っていった。 音楽教室でもあるらしい。 学校が終わったら習い事に行くのは、ポルトガルでも普通なのだろうか。 ほんとは、建物の中もみたかったが外だけにした。 入り口の外の踊り場のようなところで集まっていた。 先生が打ち合わせのような話をしていた。 カメラ好きな子供たちは、ひょうきんな格好が好きである。

          《カテドラルとコウノトリ》

 ポルタレグレはサン・マメーダ山脈を背後にしたゆるやかな丘の上に、坂道状に細く長く伸びている。 その頂上に白い建物カテドラルがひと際高く浮かび上がって見える。16世紀に建てられた大聖堂である。 2本の鐘楼が青空を背景に美しい。 18世紀に造ったというファサード(正面入りくち)を入ると、 アーチの天井は高く壁面はアズレージョでかざられ、正面の奥には金色の飾り模様で覆われ中央にキリスト像がある。 30人ほどの人が祈っていた。午後5時である。祈りの歌が低く反響して聞こえる。 床からうっすら寒さが伝わってくる。高い天井から時々、カタカタと音がする。 カタカタと物が当たる音のようにも聞こえる。もしかしたら、と相棒に目配せした。 『気になっていた・・・出よう』と相棒は呟き、中腰で床を滑るようにファサードに向かった。

 大聖堂を正面にして鐘楼を仰ぎ見た。 顎(あご)筋をめいっぱい伸ばしカメラを向け『いた!いたよー!いた!』相棒の得意の雄叫びが放たれた。 高すぎて肉眼でははっきり確認できないが、カタカタという音はさっきより良く伝わってきた。 コウノトリが上下の長いくちばしを合わせる時に鳴る音だ。 その音を、南部にあるアルガルヴェ地方の都(みやこ)ファーロで初めて聞いた時は、カタカタ聞こえるのがコウノトリの鳴き声だと判断した。 なにせ、コウノトリを町中で初めて見て、それもあっちからもこっちからもカタカタ聞かされれば、それがコウノトリの鳴き声だと思ってしまう。 そのことで。かつて記述した後で恥をかいた。で、本当のコウノトリの鳴き声は・・・知らない(調査中)。

 「けいの豆日記ノート」
 ポルトガルでコウノトリをはじめてみたのは、ファーロの町であった。 教会の屋根の上に鳥がとまっていた。 ツルのようなサギのようなコウノトリのような鳥であった。 町の観光の宣伝のために作り物のコウノトリを屋根につけているのだと思った。 見ていると、鳥の頭が動いた。 ロボットになっていて、動くコウノトリにしているのだろうと思った。 しばらくすると、羽を広げて空高く飛んでいった。  「え〜 本物の鳥だったのか〜」  まさか、本物のコウノトリが街中にいるとは、思わなかったのであった。

          《商店街でのワンショット》

 青空いっぱいから注ぐ太陽を浴び、石畳の狭い坂道を下って来た。 道幅4メートルもないメインストリートだ。道の両側には前にも述べたが目を引くお店が連なっている。 観光客の姿もある。短パンに半袖だからすぐわかる。北欧系の人々だ。 太陽を求めてやってきた。太陽光線があれば、軽装の露出肌でしかも身体がデカイ。 だから、すぐ分かる。どの店も狭いが気をそそるディスプレー店頭だ。相棒が電気店に入って行った。 置いてある商品はテレビ。薄型のテレビジョンだ。 当然、映像が映っている。フットボール(サッカー)画面だ。 3日前のヨーロッパ選手権大会でのトルコ戦2−0でポルトガルが準決勝に進出をかけ、勝った試合の中継ビデオを流している。 もう何度も見せられた映像であった。宿でテレビをつければ、こればかりだ。

 店員に撮ってもいいかと相棒が聞く。 店員は日本人かと聞き、相棒が頷くと、日本製のテレビは素晴らしい、デザインもいいし故障がないのでお客に喜ばれるが、難点は高値だと店員は語る。 中国製も薄型であり、しかも安いので売れているらしい。 テレビ画面は何処の国でも大型で薄型が人気である。 日本の電化製品は、SoやSaやToやPaがブランドだったが、どこで間違えたのかセールスポイントの落下を招いてしまったようだ。 殿様商売をしていては、中国製品に負けてしまう。 相棒がこの店に入った目的は、語ってくれた店員の可愛らしさだった。 折鶴をもらっていただき、相棒は彼女を撮った。

 「けいの豆日記ノート」
 小さな町の電気屋であった。 1番目立つウィンドゥには、アイロンが飾ってあった。 そんなに新製品とも思えないアイロンであった。 コードレスでもなかった。 ポルトガル人はアイロン好きだと、以前に聞いたことがある。 なんにでもアイロンをかけるのだそうだ。 シーツなど、アイロンをかけてピシッとしているのは、気持ちがいいものだ。 なんでもしっかりとアイロンをかけるらしい。 シャツなどキチンとさせたいときはアイロンも必要だろうが、普段着などいらないだろう。 わざとシワシワになった生地もあるくらいなのに。 と怠慢なことを思っている人は、いないらしい。

          《今夜も夕焼け》

 宿に戻ったのは、7時過ぎ。夕食は、残り物で済ます。 相棒は今日撮った映像の整理をする。毎夜、1時間もの作業だった。 ポーは、持参の単行本「天使と悪魔」中(ダン・ブラウン著)の続きを読む。 その前に紀行文を書くためのメモ書きは必ずする。 頭脳がホケ気味だからだ。かつてはスケジュール表などを持たずとも、日々の行動をこなせた。 でも、昨日の昼は何を食べたのか忘れる分けにはいかない。 貧しい旅人にとっては、食には敏感になっていた。忘れるはずはない。
 (で、今日の昼は何を喰ったけ?あっ、喰ってない、グラスビールと醤油胡麻煎餅だけだ)
 読むのは、寝がけか早朝しかない。 一日二万歩目標の撮影取材旅は半端ではなかった。 単行本を胸に開いたまま、気付かずに眠ってしまう日々であった。 その本を読みながら窓に視線を送ると、オレンジ色に変わっていく空模様が見える。 そして家々の屋根には、テレビアンテナが林のように黄金色の空に乱立していた。

                              *「地球の歩き方」参照*

終わりまで、旅日記を読んでくださり、ありがとうございます。 次回をお楽しみに・・・・・・・2010年4月掲載

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