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ポルトの伝統的本屋『レロ・イ・イルマオン』&アズレージョの教会は、こちらからどうぞ!
☆ポルト8の説明 (写真の上をクリックすると大きな写真が見れます。)☆
リスボンから北へ約300m、ポルトガル第2都市ポルトである。
人口約30万、ポルトガルの商業の中心地である。
名実ともにポルトガル発祥の地がポルトだといわれている。
14〜15世紀には良港であることを活かし、海外進出の拠点となった。
グレゴリス教会の塔の近くの本屋『レロ・イ・イルマオン』
古い建物を利用しており凝ったインテリアで造られている。
書籍も一般書から専門書まで豊富にそろっている。
リスボンから、飛行機で所要55分、1日10便程度。
サンタ・アポローニア駅からAPまたはICで2時間45分〜3時間10分、1日15便程度。
セッテ・リオ・バスターミナルから約3時間半、1日20便程度。
「ポー君の旅日記」 ☆ 伝統的な本屋のポルト8 ☆ 〔 文・杉澤理史 〕 ≪2008紀行文・28≫ 今日も30℃を越すかもしれない夏日和になるだろうが、ほぼ一日かけてのバス大移動が待っていた。 〈エヴォラ〉から首都〈リスボン〉へ。 リスボンで乗り換え、北部の第2都市〈ポルト〉まで予定では8時間ほど(19.5ユーロ)のバスの旅である。 《大移動の朝》 エヴォラの6月21日(土)の早朝も、快晴だった。 4泊お世話になった定宿[ペンサオン・デイアナ]は、ジラルド広場から狭い10月5日通りに入り、 カテドラルに抜ける途中にある。 モーニングサービスを満腹し、宿のオーナーばあさまと愛犬リンダに別れを告げ、タクシー代6ユーロでバスターミナルに行く。 重い大型旅行バック2つを、一人で900メートルほど石畳をごろごろ転がしては行けず、仕方がない出費だった。 大型長距離バスは新車である。来るたびに、バスは進化していた。 7年前、ひびが入ったフロントガラスにガムテープが長々と貼ってあるバスに乗った時は腰が引けた。 リスボンに向かう白い車体は陽射しでピカピカ輝いていた。 バス車内はリスボンに向かう15人ほどの観光客などで賑やかであった。 バスは前の方から詰まって行く。後ろの方はなぜか人気がない。 だから、長距離バスで遠出するとき、相棒は必ずがらがらな後部座席を確保する。 座席が連なっているからだ。つまり、横になって眠れるベッドになった。 9時45分、思い出いっぱいのエヴォラの城壁が、車窓から離れて行くのが辛かった。 「けいの豆日記ノート」 《リスボンに向かう》 高速バスは、軽い起伏が連なるアレンテージョ地方の大草原を、陽射しを浴びて走っていた。 後部座席では、相棒がのびのび寝ればいいのに縮こまって眠っていた。 あれだけ毎日、愛しのポルトガルの人びとの日々の姿を追い求め、一日二万歩を目標に歩き続け、 偶然の出会いでその日のその時の、歓喜や悲哀の表情を撮れるかもしれないことだけを期待して、 張りつめて歩き回る相棒は疲れていた。 その目印の赤い帽子を逃すまいとガードするポーは、もっと疲れていた。 視力も体力もぐらっと落ちた歳のせいと片付けないで欲しい・・・。 熱意に感嘆し、満足できる映像をキャッチして欲しいだけである。 ポーはバスの車窓風景が好きだった。高速道路からの視界は限りなく果ての果てまで見通せる。 日本の高速道路では防音壁の高さで風景を遮断されるが、ポルトガルでは開放感があって長閑な景観を楽しめる。 それに、インターチェンジでしか降りることができない日本とは違い、 ロータリーでくるりと回って近隣の町や村に入り込み乗客を拾って高速道路に戻ってくる高速バスもある。 そのバスに当たるとそれぞれの町や村の様子が堪能できる。これが、いい。 大型バスが窓ガラスに大きなレモンの実がぶつかりそうな狭い町や村の道をゆっくり走り、バス停で止まり、乗客を降ろし拾う。 そのたびの、運転手と住民の会話の長さに、おいおい・・・と思うことがあるが、それもいい。 ガラス越しに手を振ると、ニカッとはにかむ笑顔が可愛い。ポルトガルも、地方に行けば高齢者ばかりの、ニカッである。 前方フロントガラスに大きな橋が迫って来た。 対岸の首都〈リスボン〉に渡るテージョ川に架かる全長2278メートルの[4月25日橋]である。 橋の手前に〈クリスト・レイ〉の町の小高い丘の上に立つ、高さ110メートルの巨大なキリスト像が両手を広げ、 対岸のリスボンの町を見下ろす姿が右手車窓から見える。 橋の上、上り下り3車線は車で詰まる渋滞であった。 アレンテージョ地方からテージョ川を渡り、リスボンに入るにはふたつの橋しかない。 もうひとつは、上流のヴィスコ・ダ・ガマ橋だ。 11時30分リスボンの[セッテ・リオス・バスターミナル]に着いた。 エヴォラから1時間45分、順調であった。 「けいの豆日記ノート」 《ポルトに向かう》 セッテ・リオス・バスターミナルは、リスボンにある4か所のバスターミナルの中で最大である。 スペイン行きの国際バスもここが始発だ。 ポルト行きのバスに乗り替えるために広いターミナルを大型旅行バック2つ転がした。12時発まで30分。 交代でトイレに行き、バスに乗り込んだ。8分前だった。 ポルトまで距離的には、東京から名古屋間およそ300キロメートルである。 30分ほど右手に見えていたテージョ川上流が右手奥に遠ざかっていった。継ぎ目が多すぎる高速道路だ。 タイヤが拾う振動が多すぎる。でも、6割がた埋まった乗客はほとんどが眠っている。 相棒も当然、その一人であった。 13時35分、聖母マリアの奇跡が起こった聖地〈ファティマ〉のバスターミナルに着き、 10分のトイレタイムをメタボの運転手が告げた。 ファティマには、2004年4から5月にかけての撮影取材旅で一泊している。 いつも巡礼の人びとが絶えない巨大な広場に立つ【バジリカ】には、5月と10月の大祭の時は10万人もの巡礼者であふれる。 その広場に立った時、その広大さに空いた口がふさがらなかった。 トイレに立つ人は、半分もいなかった。旅慣れた旅行者が多いようだ。 相棒も、チラリ目を開けたが降りてこない。ポーは、降りてファティマの空気を吸った。 10分間では広場にも行けなかった。バジリカがある方向に、手を合わせ、軽く頭を下げた。 おいおい、頭を下げず胸で十字を切らなきゃ〜。 バスは休憩10分で出発。運転手は降りた人数を把握していたのだろうか。 確か、真っ先に運転席から飛び降りたのはメタボ君であったはずだが・・・。 でも、数える素振りもなく出発した。乗り遅れはなかったのか、と心配するポーだった。 ファティマからは風景が一変した。大草原に林が多くなる。それも、松の木が目立った。 ここ10年ほどしかたっていない幼松のように見えた。ポルトガルで松の林を見たのは初めてだった。 高速バスはコイブラ大学がある〈コインブラ〉を過ぎ、町の中央を運河が流れる〈アヴェイロ〉を通り、 大西洋の青い海を左手車窓にちらちら見て、北へ北へと向かっていた。 車中には、高速道路を走るタイヤの音だけが響いていた。 車窓を眺めていたのは、ポーだけだ。車窓に橋が見えた。忘れもしない[ドン・ルイス1世橋]だ。 と言うことはドウロ川に架かる[インファンテ橋]をバスは渡っていることになる。 橋を渡れば、ポルトガル第2都市〈ポルト〉である。 「けいの豆日記ノート」 《ポルトに着く》 15時40分、ポルトの[REバスターミナル]に着く。リスボンから3時間40分。 エヴォラから6時間ほどだった。 予定より2時間余り早かった。ポルトで4泊する宿は[レジデンシャル・サン・ジョルジュ]。 安宿だ。この宿は相棒が探し当てた。バスターミナルから歩いて5分もかからなかった。 古い建物だったが部屋は広く、天井が高いのがいい。 ポルト生まれの医師に嫁いで30年になる、弘前市出身のyukoさんに電話した。 24日の12時に会うことにした。ここに来るたびに昼飯をご馳走してくれるありがたいお方である。 3階の部屋で大型旅行バックを解き、洗濯をして持参のビニールロープを窓際に張り干して、町に飛び出した。 16時半の空は青く透明感があった。坂道を上って行くと、[バターリャ広場]に出る。 2002年1月から2月にかけ2回目の撮影取材旅をした起点のホテル[メルキュール・バターリャ]が バターリャ広場に面している。 このホテルから坂を下れば、メインストリートのショッピング街[サンタ・カタりーナ通り]である。 目の前をたくさんの観光客を乗せた2階建のシティ観光バスが横切って行く。6月からは夏場だ。 観光シーズン突入である。3日後には、ポルトの[サン・ジョアン祭]だ。それを目当ての観光客が多い。 我らも、然り。祭りに合わせ旅の計画を立てていた。サンタ・カリーナ通りは車が通れない地区もつくっている。 それほど広くない通りは一日人びとが途切れないほどの混雑ぶりである。 レストランやカフェ、それに菓子店も多く、観光客だけでなしに地元の人々も集まってくる。 歩道の両サイドは色とりどりのテーブルと椅子が白いパラソルで覆われ、色とりどりの服装が占領し、 まるで道端が咲き乱れる花壇のようだった。 「けいの豆日記ノート」 《祭りのシンボル》 ポーは、ポルトガ好きだった。もう7回も訪れている。
ここに着いた時、電話をしたyukoさんともポルトで知り合った。彼女には2人の子供がいる。
長女はポルトガルの学校から日本の早稲田大学を受験し合格、入学した。長男はリスボン大学を卒業した。 ポルトもリスボンと同じ起伏に富んだ都会であった。 つまり、坂道だらけだ。下れば上らなければならない。 一日二万歩撮影取材には堪(こた)える。でも、ポーは好きだった。 特に、18世紀に建てられたバロック様式の[クレリゴス教会]からポルトガルの玄関口でありホールの壁一面を 飾るアズレージョで名高い[サン・ベント駅]に行く下り坂は圧巻だ。 町並みが立体的に迫る美しさには痺れる。 また、サン・ベント駅から要塞として12世紀に建てられ、17世紀から改修された大聖堂[カテドラル]に行き、 住民が住む狭い裏路地を通り抜けドウロ川に下り、川べりに並ぶレストラン街[カイス・ダ・りベイラ]を 歩きながらドウロ川に架かる[ドン・ルイス1世橋]を見上げる景観が好きである。 それに、対岸のポルトワインのワイナリーが並ぶ1世橋を渡ったヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア地区から見る、 雛壇(ひなだん)のように積みあがるポルトの町並み景観には息を呑む。 更に、その全体俯瞰が楽しめる[ノッサ・セニョール・ド・ピラール修道院]から見られる大パノラマは、 息が詰まる壮観の一言だ。 その道すがら目に飛び込んでくるのが、おばさんやおばあさん達があっちこっちの道端で売っている祭りのシンボルであった。 色とりどりのプラスティク蛇腹トンカチ、ピコピコハンマー。 叩くと、ピコッピコッと音が出る。 祭りの日には、町で出会った見知らぬ人の頭を叩いても、文句どころか笑顔が返ってくるのだ。 それに、独特な香りがするマンジェリコ(こんもり鉢植えいっぱいの植物)と、魔よけの実と長い茎と花がついたニンニク。 これがサン・ジュアン祭りに欠かせない三種の神器であった。 おばさん、おばあさん達が毎年楽しみしている臨時収入時である。 どうしても、売り声に熱がこもるのも頷けるポーだった。 「けいの豆日記ノート」 《カイス・ダ・リベイラ》 クレリゴス教会の76メートルの塔をすぐ近くに背負い、ポルトの世界遺産に指定された本屋をやっと見つけた。 yukoさんに勧められていた[レロ・イ・イルマオン]という本屋である。建物はこじんまり、今まですーと通り過ぎていた。 表からは本屋のイメージがない。でも、一歩踏み込んで、凝った内部に唖然とした。 間口は狭いが2階建の奥行きの中央に螺旋階段があり、吹き抜けの天井には大きなステンドグラスの天窓から明りが 内部を包んでいる。こった木製階段の手すり、階段の真っ赤な絨毯に心が躍る。 四方の壁には本がぎっしり。本探しが楽しくなってしまう雰囲気が満ち満ちていた。 「けいの豆日記ノート」 18時半、空は真っ青だが光にマゼンタが濃くなってきた。落日までは2時間以上はある。 リベイラのレストラン街は、夕陽を待つ客で賑わっていた。 広場では設置された大型スクリーンのサッカーを見る人達が片手にビール紙コップを握りしめ観戦している。 目の前のドウロ川からは、川面をかすめて涼しい川風が吹きこんでいた。 腹が減っていた。バスの中で持参の胡麻醤油味煎餅を2枚かじっただけの昼食だった。 カフェレストランに入った。ビールジョッキ(3ユーロ)、チェリージュース(1ユーロ)、オムレツサンド(3ユーロ)、 ポークサンド(2ユーロ)計9ユーロだった。 1日大移動のバスの旅だった。長い坂道を上って宿に帰るのは、21時を過ぎるだろう。 カフェレストランを出た目の先でおばさんがU字型コンクリートに網を載せ炭火でイワシを焼いていた。 美味そうな懐かしい香りが鼻先をくすぐった。祭りの時は、イワシの塩焼きの煙が路地路地でもうもうと立ち上ると聞いている。 5歳くらいの女の子がおばさんから焼き立てのイワシを2匹受け取ると、ベンチで胡坐をかいて食べ始めた。 実にうまそうに丸かじりする女の子が、相棒のカメラに収まった。 *「地球の歩き方」参照*
終わりまで、旅日記を読んでくださり、ありがとうございます。 次回をお楽しみに・・・・・・・2011年11月掲載 |
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