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(ワイン船の町・ポルト2)
Portugal Photo Gallery --- Porto 2

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ポルト22
ワイン船

ポルト23
ラベーロ

ポルト24
家のパズル

ポルト25
赤い十字

ポルト26
ヨット

ポルト27
レストラン街

ポルト28
シマシマパラソル

ポルト29
赤いパラソル

ポルト30
道路もレストラン

ポルト31
ドウロ川クルーズ

ポルト32
洗濯日和

ポルト33
どこでも昼寝

ポルト34
撮影現場

ポルト35
スーパーモデル

ポルト36
ハトが主役

ポルト37
赤いチェアー

ポルト38
サイクリング

ポルト39
あこがれ

ポルト40
ピンク大好き

ポルト41
日光浴

ポルト42
ひとやすみ

ポルト43
川に向って

ポルト44
美大生のスケッチ

ポルト45
入れ食い

☆ポルト2の説明 (写真の上をクリックすると大きな写真が見れます。)☆
リスボンの北約300kmのところにある起伏の多い町である。
ドウロ川の北に広がるポルトガル第2の都市ポルト。
ドウロ川沿いのレストラン街カイス・ダ・リベイラはいつも賑わっている。
向かい側には、ワイン工場がいくつもある。芝生の公園も憩いの場だ。
遊覧船に乗るとまた、違った風景がみえる。

「ポー君の旅日記」 ☆ ワイン船の町・ポルト2 ☆ 〔 文・杉澤理史 〕

  

 2004年4月24日(土)の朝は、昨日の朝のドタバタ劇もなく、快適な朝食が待っていた。 ヴィアナ・ド・カステロのホテル・ラランジェイラ。 (ドタバタ劇の内容は後日アップする予定のヴィアナ・ド・カステロで読んでくださいね。)
   今朝は特に待遇がいいわけではなかったが爽やかであった。 隣のテーブルの老夫婦はスペインの方で、笑顔で挨拶してくれた。 昨朝の寝坊事件の目撃者でもあった。 ぼさぼさ頭の青年が慌てて部屋から飛び出してきたとき、二人は声を上げて笑い、相棒の写真家がくりだすジェスチャー会話を絶賛してくれた。 モーニングをすませ、老夫婦に《折り鶴》を差し上げ、慌てて駅に走った。 右手の丘の上にあるサンタ・ルジア教会が優しく、見送ってくれた。チャオ!
   9時20分発の列車に飛び乗った。 ポルトガルの首都リスボンに次ぐ第二都市ポルトのサン・ベント駅まで5・5ユーロ(715円)、1時間30分の列車旅だ。 (相棒は走行の半分は眠っていた) 列車は延々と続くぶどう畑の景観を走り、大西洋の潮風を受けて南下し、幾つもの町を過ぎてポルトに着いた。 みんな夏姿だった。 8日前は真冬のいでたちだったのに。その落差に戸惑った。 『なんで、こうなるの!』上着を1枚剥ぎ取った相棒はサン・ベント駅構内のアズレージョ(タイル画)を見上げた。 駅から歩いて3分。 常宿にしたペニンスラールで旅行バックを物置から取り出し、部屋でフイルムの整理をして、時間を惜しむように再び町に飛び出した。 駅に着いてから30分もたっていなかった。

 「けいの豆日記ノート」
 荷物をホテルで預かってくれるとほんと助かるよ。 大きなスーツケースをガラガラしながらの移動はたいへんだものね。 だから、旅をするときは、何箇所か拠点をきめたほうが移動も行動も楽なんですよ。 それに駅から近いこともポイントかも。 普通に歩けば、500mくらいたいした距離でないのだが、ガラガラ引いていくのはたいへんだ。 それに石畳の道はガラガラが壊れそうになる。

 宿から300mも歩けば、世界遺産に登録されている歴史地区がある。 2年前にも訪れたクレリゴス教会は、18世紀に建てられたバロック様式で76mの塔に登るとポルトの町が一望できる。 入館1ユーロを払い再アタック。 石積みの螺旋(らせん)状階段は92段目で急に狭くなり、更に急勾配になる。 しかも一人がやっと登れる狭さだ。降りてくる人に出会うとすれ違うのが大変。 お互い身をよじってすれ違う。特に女性との遭遇は気兼ねしてしまう。 太目の方に出会ったら、それこそ悲劇。 何段下がったらすれ違えるか心配だ。162段目でポーは一息。 上に向かって『け〜!』と叫んだが返事なし。相棒は登りきっているに違いない。 163段目から更に狭く、197段目でやっと展望台によじ登った。
   懐かしい。清清しい空気が流れていた。空は限りなく青かった。 2年前は強風で息もできない状態だったが、今日は風も無い絶好の撮影日和であった。 ここからの展望は痺れる。 眼下にはオレンジの波(屋根)が打ち寄せ、人の姿は海底の小魚ほどの大きさ。 町全体がオレンジ色に見え、その彼方にドウロ川が光っていた。
 相棒が言った。『そうだ!船に乗ろう!』

 「けいの豆日記ノート」
 クレリゴス教会は、前にも登ったことがある。 さすが高いだけあって、登るのは半端でなくたいへんだ。 でも、登るのは目標があるからか、いいのだけど、降りるほうが怖いかもしれない。  クレリゴス教会の展望台からみる風景は期待していたほどではない。 360度のパノラマはすごいとは思うけどね。 オレンジの屋根ばっかりだ。(これがいいのだけど・・・)やっぱ、人物がいないとなあ。

 クレリゴス教会からドウロ川に向かう石畳は急坂で曲がりくねり、しかも狭い。 300mほど下ったところにカテドラル(大聖堂)があった。 もともとは要塞として12世紀に立てられたという。 そんな歴史的な建物がゴロゴロしているのが第二都市ポルトだった。 さらに200mほど下ると大好きな大衆向き食堂地帯カイス・ダ・リベイラという川沿いのレストラン街が列車の窓みたいに立ち並んでいる。 夏日を浴びて川沿いはパラソルで満開だった。はやっている店とそうでない店との差が歴然。 運良く人がいっぱいのパラソル席が取れた。 座るや否や店からおじさんが注文取りに飛び出してきた。 客の動きは見逃さない。 隣の家族が食べているものが美味そうなので頼んだ。 ビールとファンタも一緒に。料理はイカの煮物 にポテトフライが山盛りとバターライス。11ユーロ(1430円)。 勿論一人前。量が多いだけでなく、これが美味かった。 腹いっぱいになった。

 「けいの豆日記ノート」
 1日に1回はレストランに入ろうという目標を作った。 ということは、レストランでほとんど食べていないということなのだが。 朝は、ホテルのモーニングでおなかいっぱい。 安いホテルは、質素でパンとコーヒーしかなかったりする。 でもしっかり食べないと歩けないと思って、食べる。 昼間、町の中を歩き回っているとスーパーを見つけてしまう。 どこの町にも大きなスーパーが1軒はあるものだ。 中を見たくなって入ると、おいしそうなものがいっぱいある。 値段がはっきりしているところがいいよね。 それに、ばら売りをしているので少しでも買えるところもいい。 ホテルには冷蔵庫がないので余分には買えないからだ。 安くておいしそうな物が大好きだ。 で、結局、夜はスーパーで買ってきたものを食べることになる。 だから、昼しか、レストランに入るチャンスがない。 レストランでも安いものしか頼まない。 それも一人前しか。 みんなが食べているものがおいしいのだろうと『あれと同じものをください。』の会話文は手放せない。 メニューを見て決める時は、安いものしか頼まない。 なにがくるのか、お楽しみだ。 好き嫌いがほとんどなくラッキーだったかも。

 目の前をとうとうと流れるドウロ川は太陽で輝き、強い日差しをパラソルがさえぎる。 冷たいビールが喉越しにうまい。 バカンス気分に浸(ひた)るポーだった。 でも、こんな気分も一瞬にして吹き飛んだ。《ご存知、じゃじゃ犬だ》 ファンタを飲んでいた相棒が写真家の眼に急変。獲物を発見した。 左手にドン・ルイス1世橋が対岸と結ぶ。1886年建造の橋である。 対岸のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアまで200mはある鉄の橋は、ドウロ川に架かる美しい二階建て高層の骨組だ。 その橋に向かって写真家は突然走り出したのだ。
 橋の手前でスチィール撮影中の人々がいた。 瞳に優しさが宿る女性モデルは美しかった。 写真家は絵コンテを見ながら指示する口髭の似合う男に話しかけた。 (マズイゼ相手は仕事中だよ)しかし、男は 笑顔で頷いた。写真家はポーを振り向き《ニカッ》と笑み、写真を撮り出した。 ファション雑誌のロケ中だった。 モデルの仕草は流れる動きの中に魅惑の決めポーズを秘めていた。 そこで、ポーの出番だ。 リックから《愛しのポルトガル写真集》を取り出し口髭に見せた。 丹念に見ていた彼は相棒を指して彼女が撮ったのかと。 そうだと言った。口髭は相棒に近づき握手。驚き歓喜したのは相棒だ。 モデル達も撮影を中断し写真集を覗き込む。 モデルの美しい笑顔が印象的だった。 普通だったら怒鳴られてもおかしくない。 ポーは出番を更に示さなければならなかった。 モデルに「この本、あなたにプレゼント」と言った。 美しい目を見開いて喜んでくれた。モデルは黒人のスパーモデルであった。
 (相棒はポーにモデルとの2ショットを撮れと。ブブブッ。撮った)

 ドン・ルイス1世橋は工事中だった。人と車でごちゃごちゃ。 ガードマンらしき人がいない。 日本なら工事中の現場ではガードマンの手際よさで、こんなことにはならないと思いながら20分もかけて対岸に渡った。 対岸はポートワインの製造地帯、ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア。 黒マントがトレードマークのサンデマンや幾つものワイナリーが川沿いに建ち並んでいる。 黒マントの建物の中にぞろぞろ団体客が入っていく。 アメリカの団体客に混じって製造見学や試飲をしてみたくなったがやめた。 入り口でしっかり人数チェック。それに、背丈ですぐばれちゃう。 個人の申し込みもあるらしいが予約制みたい。仕方なしにトイレだけ借りた。 綺麗で洒落たトイレだった。

 「けいの豆日記ノート」
 ワインが飲めたら、試飲もできるワイナリー見学は楽しいかもしれない。 せっかくポルトワインの里にきているのに飲めないのは悔しい。 正確にいうと、飲めないのでなく、ワインがおいしいと思わないのだが。 同じことか・・・。 スーパーでは、ワインが山のように売っている。 1ユーロとかの安いワインもいっぱいだ。 いくらおいしくても飲む気持ちにならないものはしかたがない。 で、結局、ワイナリーの見学はできなくてもあんまり残念でない。 工場の見学より、青空の公園のほうがいいよ〜 ワイン好きに、怒られそうだけど・・・

 さ、心も清く身も軽く、観光船に乗った。一人7・5ユーロ(975円)。 『たまには贅沢もいいよね、ポー』ご機嫌な相棒だった。30人ほどで満席になった。 船内でなしにデッキ船首のオープン席がとれた。 撮影にはベストポジション。 隣の夫婦は米人か。夫は帽子を深々とかぶり本を読み、サングラスの金髪妻はアイスクリームをなめながら両腕をさらしでっかい胸に太陽を浴びせていた。 観光船はドウロ川を下り大西洋に流れ込む手前で旋回し、また上流に向かう。 レストラン街のカイス・ダ・リベイラを左手に見て、更に上流に向かう。 ドン・ルイス1世橋がエッフェル塔のように青空をバックに目前に迫ってくる景観が迫力あって気持ちがいい。 写真家から渡される撮影済みのフイルムも3本目。風景に3本も使うのは珍しい。 船旅が軽快な証だ。匂いの無い川風が涼しくて心地よい。雛壇(ひなだん)状に青い空に向かって重なっていく建物が色彩鮮やかに浮かんで見える。 隣の米人夫婦が飲むビールがうまそ〜。まっ、いいかと気持ちの中でそっとポーはつぶやいていた。 (撮った3本のうち二本分は船上の人物だった、やっぱりな)
 50分ほどの舟遊びだった。 下船したとき目の前に黒マントの看板が見えた。 川沿いの広々した芝生はカップルの山。 そこで一人だけ魚を釣っているおじさんがいた。 ワイン工場から水が排泄されるとこ ろだけ魚が群れていた。ボラだった。 『ワインのカスが流されてくるのかな〜?』と相棒。 おじさんはバケツ3杯も釣り上げにこにこだった。

 「けいの豆日記ノート」
 ドウロ川のワイン船はいつ見てもいい。バックに写る町並みもいい。 それにもまして、川沿いの公園で休憩している人々がとてもいい。 やっぱ、人物はいいよね。 坂の多い街中では見られない自転車もここでなら乗れる。 芝生に寝転ぶ人達もゆったりしていていいな。 人物大好きには、たまらない空間だ。 青空で絶好の撮影日和だよ。

 自転車を乗り回す子供。子供の小さい手をしっかり握り締めて歩く若い母親。 フットボールに興じる少年と父親。 抱きしめあって見つめ合うふたり。 ひとり長い黒髪をかきあげながら分厚い本を読みふけている少女。 石の柵に腰掛け語り合うハンチング帽の老人達。 幅広い年齢層の人々が土曜日の午後をおもいおもいに楽しんでいた。 ドウロ川岸に配置されているポートワインの広告塔、ワイン樽を積んだ小さな運搬船ラベーロがこの芝生の空間を長閑(のどか)にしているのかも知れない。 ポートワインの原酒は、このドウロ川上流アルト・ドウロと呼ばれる流域で収穫されるぶどうから搾り出され、 樽に詰められ、ラベーロの運搬船で運ばれ、ここヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアで熟成され、樽や瓶に詰められる。  ラベーロに変わり当然、今はトラック輸送だ。そんななごりが何艘(そう)も浮かぶ川岸の芝生地帯 は静かで清掃も行き届き、美しく、長閑だった。こちら側から見るポルトの町は繊細に作られた設計模 型のように美しい立体都市であった。
 再び、ごちゃごちゃ込み合うドン・ルイス1世橋を渡る。橋を渡った右手に2年前工事中だった急斜面にケーブルカーが出来ていた。 開通したばかりのようだった。自動販売機できっぷを買おうとしたら 係りのおじさんが手のひらの小銭から勝手にコインを奪い自動販売機に落す。出てきたきっぷを嬉しそ うに渡してくれた。慣れない人が多いのかもしれない。 すっかり田舎者にされた。頂上まで歩けば30分以上かかるところを二分ほどで運んでくれた。 サン・ベント駅まで10分もかからない、このケーブルカーは便利だった。

 「けいの豆日記ノート」
 こんなところにケーブルカーができているとは思わなかった。 考えてみれば、ポルトの急坂を登るのは大変だ。 今まで坂の町ばかり歩いてきたので坂があることが当たり前だった。 写真を撮りながら歩くとそんなにたいへんに感じない。 あっという間についてしまうケーブルカーはなにかものたりない。 この時には、なかったが、今は地下鉄が走っているようだ。 できたてでピカピカなんだろうな。 今度行く時に、しっかり見ていこうと思う。

 ホテルに帰る途中でスーパーに寄る。 赤ワイン1・09 トマト0・3 キウイ0・42 オレンジ0・39 計2・2ユーロ(286円)。 船旅で使いすぎ。しわ寄せ如実だ。夕食はいつも質素だった。 遊びに来ているのではない、撮影取材だと自分に言い聞かせた。 サン・ベント駅のすぐ近くバターリャ広場は地元の若者が集まる。 映画館やレストランで活気があった。 そこをスーパーのビニール袋を提げて通り過ぎ、ホテルに戻った。 今日も万歩計は20207歩。よく歩いたものだ。
 赤ワインが効いてきた。10時だった。 相棒は撮ったフイルムに通し番号のシールを貼り、明日使うフイルムの種分けをする。 テレビの画面はフットボールだ。ポルトガルの人はフットボールが大好きだ。
 50分ほどの船旅の揺れが身体によみがえってきていた。

                              *「地球の歩き方」参照*

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