コインブラ大学の卒業イベントのふたり
政治のリスボン、商業のポルトに次ぐポルトガル第3の都市コインブラは、 文化の中心である。
丘の上の大学を中心に広がる人口10万人ほどの小さな町だが、 ポルトガルの歴史の中で果たした役割は大きい。
多くの政治家や文化人たちを世に送ったコインブラ大学は1290年に ディニス王によって創設された。
5月のこの時期はケイマ・ダス・フィタスといわれ、コンサートやパレードなど
さまざまな催しが行われ、町はお祭り気分に包まれる。
その年の卒業生たちが、学部ごとのシンボルカラーを身に着け、
それぞれの色で飾られた車で町中を行進する。
リボンを卒業のときに焼いたのが祭りの始まりで、ケイマ・ダス・フィタス Queima das Fitas とは、
「リボン焼き」という意味である。
旧大学前からスタートし、水道橋、レプブリカ広場、5月8日広場、
ポルタジェン広場を経由し、サンタ・クララ橋手前が終点となる。
パレードは、午後3時ごろから始まり、最終の山車が橋に到着したのは、
夜の9時半であった。
そのコインブラ大学のパレードの日の山車の出発点にふたりがいた。
黄色の帽子は医学部の学生である。
将来の医者は、すでにベテランのように貫禄があった。
「やっと、卒業できたよ。」
「そうね。がんばったものね。」
「これから、みんなのために働くよ。」
「期待しているわ。あなたは、村の星なんだから。」
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