ドウロ川左岸のふたり
ポルトガル第二都市ポルトは川沿いの素晴らしい立地を誇っている。
急勾配の丘に開けた町の景観をながめる場所も多くある。
そのひとつがヴィラ・ノヴァ・デ・ガイラ地域である。
ドウロ川左岸のワイン工場や倉庫が立ち並ぶ地区である。
フェニキア人やローマ人の時代から続く歴史が織り込まれた町並である。
ポルトは、カレ(ギリシア語で「美しい」の意味)と呼ばれており、
のちにポルトゥス(港)という言葉が加わって、ポルトゥス・カレとなり、
これがポルトガルという国名の起源となった。
毎年6月24日のサン・ジョアン祭はポルトやブラガで開催される。
ポルトでは、ドウロ川に浮かぶ独特の船ラベーロがレースをする日である。
(ラベーロとは、ポートワインの樽の輸送に使われた伝統的な帆船である)
1年に1回のイベントに多くの人が訪れる。
ワイナリー対抗の帆船のヨットレースである。
河口から、登ってくるために待ち時間がとても長い。
ヨットレースを待っているふたりがいた。
ここに座ってから、どれだけの時間がたっただろう。
話すことがなくなっても、ふたりでいるだけで幸せなのかもしれない。
ふたりにとって、この長い時間も短く感じられるのかもしれない。
ふたりで過ごす時間のうちのほんの一部なのだから。
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