夜の商店街のふたり
政治のリスボン、商業のポルトに次ぐ、ポルトガル第三の都市コインブラは
文化の中心である。
丘の上の大学を中心に広がる人口10万人ほどの町である。
ポルトガルの歴史の中で果たした役割は大きい。
多くの政治家や文化人たちを世に送ったコインブラ大学である。
コインブラ大学は、1290年にディニス王によって創設された。
コインブラの町を流れるモンデゴ川は、エストレラ山脈を源とする美しい川である。
かつて「ポルトガルの洗濯女」の歌で有名になった。
イネス・デ・カストロとベドロ王子の悲しき恋物語もここが舞台となっている。
侍女と王子という身分の違いから結婚することができなかったイネスは、殺害された。
その尽きることのない涙は、涙の館の小さな泉から湧き出ているといわれている。
夏時間の間、日が暮れるのが9時過ぎである。
夜のコインブラの町を見ようと散歩してみた。
商店街もすでに閉まって、その前にある石のベンチでふたりがいた。
廻りに人影はなく、ふたりだけであった。
暑い夏場であっても、夜になると冷えるので上着はかかせない。
何を話しているのだろう。
思い出なのか、現在のことなのか、将来のことなのか。
とりあえず、なんでも話し合えることが大切である。
ケンカしてもいいから自分の意志をちゃんと伝えているかな。
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