オビドスの赤い車とふたり
リスボンから、カンポ・グランテバスターミナルからバスで、1時間10分。
カルダス・ダ・ライーニャに行く途中にある町である。
バスは、1時間に1本ほどあるのでとても便利だ。
日帰りも可能なので気軽に行ける町といえる。
『谷間の真珠』とも呼ばれる中世の面影を今に残すオビドスは、
城壁に囲まれ丘の上にある小さな村である。
城壁に囲まれたオビドスの人口は、800人ほどだ。
城壁をくぐると、そこには花で飾られた白い壁の家々があり美しくまたかわいい村である。
オビドスの歴史は古く、ローマ時代に海からの敵の侵入を防ぐため、砦が築かれた。
1148年にアフォンソ・エンリケスによってムーア人の支配が終わると、町に再建が行われた。
1282年にデニス王は、この地を訪れ深く魅せられたイザベル王妃にオビドスをプレゼントした。
1834年まで代々ポルトガル王妃の直轄地、別名“王妃村”(Vila das Rainhas)として栄えた。
オビドスの入口であるポルタ・ダ・ヴィラ門に入ると、アーチ上部に18世紀のアズレージョ(タイル装飾)が見られる。
この城門は1380年に建造されたもので、中で折れ曲がるクランク型の構造で、敵に直接攻め込まれるのを防いでいる。
観光地化されている感じはあるが、花いっぱいのきれいな町である。
その町角の赤いオープンカーの前にふたりがいた。
「オビドスはきれいな町ね。」
「そうだな。君の好きな花もいっぱいだしね。」
「ジンジャというサクランボを漬けた果実酒もおいしいわね。」
「チョコのカップに入ったジンジャは、甘くて君の好きなお酒だね。」
「この赤いオープンカーもかわいいわね。」
「風を浴びて走るのが、君は好きだしね。」
「そうなのよ。さわやかな風を浴びたいからほしいわ。」
「じゃあ、ホームセンターに扇風機を買いに行こうか。」
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