路面電車と自撮りするふたり
ポルトガルの首都リスボンは、大西洋に注ぐテージョ川の河口から
約12km上流の右岸に位置するヨーロッパ大陸最西端の首都である。
「7つの丘の街」と呼ばれる起伏が激しい土地である。
ロシオ広場から、アウグスタ通りを通り、勝利のアーチを抜けると
広々としたコメルシオ広場が広がっている。
リスボンの海の玄関口であるコルメシオ広場は、
1755年の大地震で破壊されたマヌエル1世の宮殿があったことから、
別名テロイソ・ド・パソと呼ばれている。
1908年にはカルロス1世と皇太子が暗殺されるなど、
さまざまな歴史の舞台ともなった。
石畳の狭い路地をきしみながらゴトゴト走る市電はポルトガル情緒満点である。
乗っても見てもおもしろく楽しい路面電車である。
レトロな市電28番は、バイロ・アルト、バイシャ地区、アルファマを通るので、ぜひ乗りたいコースである。
★ 市電の路線 ★
12番:フィゲイラ広場~フィゲイラ広場 (アルファマ地区を一周する)
15番:フィゲイラ広場~アンジェス (フィゲイラ広場からベレン地区に行く。モダンな新型車の路面電車である。)
18番:アルファンデガ~アジュダ (アジュダ宮殿まで行く)
25番:アルフォンデガ~カンポ・デ・オウリケ (バイロ・アルト地区を走る)
28番:マルティン・モニス~カンポ・デ・オウリケ (バイロ・アルト、バイシャ地区、アルファマ)
コルメシオ広場の市庁舎前から、リスボンツアーの赤い路面電車が発車する。
出発前の路面電車を撮影するのに最適な場所である。
ここ数年で、爆発的に浸透した自撮り棒である。
百均でも売られるほど一般的になってきた商品である。
その赤い路面電車の前で写真を撮るふたりがいた。
「自撮り棒ができて、便利になったよ。」
「ほんと、写真を人に頼まなくてもいいものね。」
「広角レンズも付けれるようになったしね。」
「あなたのサングラス素敵よ。、似合っているわ。」
「おだてたって、何も出ないぞ。」
「あら。でも、今夜のディナーは豪華にね。」
「おいおい、破産しないように頼むよ。」
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