エヴォラ大聖堂のふたり
リスボンからセッテ・リオス・バスターミナルからバスで1時間30分程、
または、オリエンテ駅から列車で1時間40分でエヴォラに到着する。
列車は、本数が少ないので、バスのほうが便利である。
アレンテージョ地方の中心であるエヴォラは、ローマ時代から栄えてきた。
ルネッサンス期には、大学も設置された学芸の都でもある。
ローマ、イスラム、キリスト教、それぞれの時代を物語る建造物が
ひとつの城壁の中に混然と同居する旧市街は、
世界遺産にも登録されており、まるで町全体が美術館のようである。
街角ごとに豪華な邸宅か、見事な教会がある。
その多くはエヴォラが栄華を極めたルネサンス期に建てられたものである。
1580年にポルトガルがスペインに併合されるとエヴォラの繁栄に
終止符が打たれ、町はゆるやかに衰退しはじめた。
しかし、奇跡的な修復工事により町はその栄華を取り戻した。
エヴォラ大聖堂は、主に1280年から1340年の間に建てられた。
12世紀にロマネスク様式で建てられたリスボン大聖堂の平面図に
細部に従って設計された。
リスボン大聖堂のように、エヴォラ大聖堂の建築家たちは、交差廊、
2つの側廊より高い場所にある出入り口、トリフォリウム、
3つの礼拝堂付属のアプス といったものを、十字架型の教会に設計した。
交差廊のてっぺん部分は、ペンデンティヴと8角形のランタンのあるドーム上にある。
交差廊は、2つのゴシック様式のバラ窓で照らされている。
広い本堂は、トンネル状ヴォールトがポイントである。
内装は、白いモルタルを高い壁と柱、ヴォールトに塗りアクセントをつけた。
祭壇に向かって左側上部に16世紀に作られたパイプオルガンが見える。
1584年にエヴォラに到着した天正遺欧少年使節の4人は、
パイプオルガンの演奏を聴いた(披露したの説もあり)といわれる。
そのエヴォラ大聖堂から出てきたふたりがいた。
眩しい陽射しの中でサングラスが似合うふたりである。
「さすが、エヴォラの大聖堂はすごいわね。」
「重厚な感じがいいね。」
「パイプオルガンもすてきだったわ。」
「きっと、すばらしい音色なんだろうね。」
「私もオルガンを習ってみようかしら。」
「それはいいけど、パイプオルガンは買えないからな。」
|