黒マントの卒業生のふたり
リスボンからセッテ・リオス・バスターミナルからバスで3時間30分程、
または、オリエンテ駅から列車で3時間でポルトに到着する。
リスボンから北へ約300km、ドウロ川北側の丘陵地に築かれた、起伏の多い街である。
人口約23万人、この国の商業の中心として栄えてきた。
ポルトのドウロ川に架かる橋は、正確には5つある。
ポルトを代表する2重構造のドン・ルイス1世橋は、1886年に
フランスのエッフェル塔設計者の弟子によって建てられた。
ほかに、自動車専用道路のアラビータ橋、
5つの中で最古のドナ・マリア・ペア橋(現在は使われていない)、
鉄道橋のサン・ジョアン橋がある。さらに上流にフレイソ橋がある。
ポルト大学(Universidade do Porto)とはポルトに所在する大学であり、
1911年3月22日に創設された。
学生数はポルトガルの大学の中では最大であり、
特筆される研究の成果を出している大学の一つである。
この大学は19世紀にポルトに創設された二つの高等教育機関、
理工科アカデミーと外科医学学校から成っている。
1910年の革命後、第一共和政期にリスボン大学とポルト大学が創設された。
ポルト大学は当初3学部から構成されていた。
ポルト大学の開学は1911年7月16日であり、最初の学長(Reitor)には数学者の
ゴメス・テイシェイラが選ばれた。
同時に、大学は経済的、科学的に独立し、教育の自治は公的に承認された。
現在は、14学部と商学大学院が存在する。
大学の卒業式も終わったころ、ドン・ルイス1世橋の上で黒マントの彼女に出会った。
コインブラ大学の卒業式より、ポルト大学の卒業式のほうが遅いのかもしれない。
卒業生は、黒マントと着ているので、すぐにわかる。
「卒業おめでとう。」
「ありがとう。でも、これからがたいへんよ。」
「君は、優秀だから、研究の道に進むんだね。」
「だから、当分、田舎には帰れないと思うわ。」
「僕は、ずっと、君を待っているからね。」
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