ロシオ広場の横断歩道の前のふたり
ポルトガルの首都リスボンは、ヨーロッパ最西端の首都である。
日本からの直行便はなく、乗り換えが必要である。
ヨーロッパの都市まで、12時間、乗り換えて3時間でポルトガルである。
乗り換え待ち時間もあるので、1日がかりでの移動である。
バイシャ地区にあるロシオ広場はリスボンのヘソとも言われている。
正式名は、ドン・ペドロ4世広場だが、ロシオの愛称で親しまれている。
ロシオとは、公共の広場という意味である。
中央の円柱の頂きから広場を見下ろしているのは、
初代ブラジル国王となったドン・ペドロ4世のブロンズ像である。
周囲には、カフェや土産物やが並び、バスやタクシー乗り場もあり、
1日中にぎわっている広場である。
ロシオ広場の東側に老舗のカフェ・バステリアがある。
ロシオ広場の西側にも老舗のカフェ・ニコラがある。
広場に面したテーブル席は、見晴らしがよく人気である。
いつも、大勢の人たちでにぎわっているカフェである。
そのロシオ広場の横断歩道の前にふたりがいた。
周りに多くの人がいるにもかかわらず、いちゃついているふたりであった。
「愛してるよ。マリア。」
「私もよ。アントニオ。でも、人が見ていて少しはずかしいわ。」
「気にするなよ。周りなんてどうでもいいさ。」
ふたりの世界に入り込んでいるふたりには、周りなど関係ないのである。
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