夕暮れのモンデゴ川沿いのふたり
リスボンのサンタ・アポローニア駅から列車で2時間、
セッテ・リオス・バスターミナルからバスで2時間30分ほど、
ポルトのカンパニャン駅から列車で1時間から2時間、
バスターミナルからバスで1時間30分ほどで、コインブラに到着する。
コインブラは大学を中心に発展した文化の中心である。
政治のリスボン、商業のポルトに次ぐポルトガル第3の文化都市である。
丘の上の大学を中心に広がる人口10万人ほどの小さな町だが、
ポルトガルの歴史のなかで果たした役割は大きい。
多くの政治家や文化人たちを世に送ったコインブラ大学は1290年に
ディニス王によって創設された。
最初はリスボンにおかれていたが、その後コインブラに映ったり
リスボンに戻ったりしながら、1537年コインブラに落ちついた。
ヨーロッパでもパリ、ボローニャ、サラマンカに並ぶ古い大学で、
1911年にリスボン大学が建立されるまでは国内一の学術の中心地であった。
学生は黒いマントに身を包み町中を闊歩し、
そのマントの裾に切れ目が多いほどもてる証だったという。
2013年には、14世紀以降大学として使われている山の手のアルタ地区と、
16~20世紀にキャンパスがおかれた市町のソフィア地区が世界遺産に登録された。
新サンタ・クララ修道院は、モンデゴ川の洪水を避けるため、
川沿いにある旧修道院の代わりに、17~18世紀にかけて新しく建てられた。
コインブラの守護聖人であるイザベル王妃の棺が納められている。
ディニス王の妻であったイザベルは慈悲深い王妃として市民に愛された。
修道院前には、コインブラの町を見下ろすようにしてイザベル王妃の像が建っている。
モンデゴ川に架かるサンタ・クララ橋の手前の公園にふたりがいた。
遅い夕日が沈んでいくのをバックにしている。
「毎日、ウォーキングすると健康にいいのよ。」
「そうだね。食事もおいしいよ。」
「食べ過ぎたら、ウォーキングの意味がないわよ。」
「じゃあ、ビールだけにするよ。」
「ほどほどにね。長生きしてほしいから。」
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