おそろいのデニムのふたり
リスボンから、バスで、3時間半から4時間、
または、ポルトから、バスで1時間45分から2時間、
または、コインブラから、バスで1時間15分ほどで、ヴィゼウに到着する。
モンテゴ川支流のバヴィア川沿い、穏やかな丘陵地にブドウ畑が広がる。
ダオン Dao と呼ばれる有名なワインの産地、その中心がヴィゼウである。
16世紀にはヴィゼウ派を開いたふたりの画家がこの地に暮らした。
「偉大なヴァスコ」と呼ばれるヴァスコ・フェルナンデスと、
その弟子のガスパー・ヴァスである。
ヴィゼウの人々はとても信仰心が強いといわれるが、
今でも宗教的な雰囲気を色濃く残している。
街の中にラクガキがひとつもなく、街の美化に力をいれていることがよくわかる。
ミゼリコルディア教会 Igrela da Misericordia は、18世紀の建造である。
広場を挟んでミゼリコルディア教会とカテドラルが向かい合い、
宗教的な雰囲気に包まれている。
ロココ様式の正面ファザードは、白壁と灰色の花崗岩のコントラストが美しい。
教会内部は19世紀のネオ・クラシック様式である。
かつて教会にあった絵画や彫刻は、現在はグラン・ヴァスコ美術館に移されている。
町はずれにあるバスターミナルへ行く途中でふたりがいた。
バスターミナル前には、タクシーが止まっている。
おそろいのデニムの上着を着たふたりである。
サンダルは10cm以上もあるコルクのヒールである。
「今日は楽しかったわ。ありがとう。」
「もう、お別れの時間なんだね。」
「また、来週、会いに来るわ。」
「待ち遠しいなあ。」
「なにか、ほしいものがあったら買ってくるわ。」
「ほしいものは、君だけだよ。」
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