アルコバサ修道院前のベンチのふたり
アルコバサの修道院は、ポルトガルの中西部、首都リスボンの北約120km、
コインブラの南約100kmにある門前町アルコバサにある修道院である。
リスボンのセッテ・リオスバスターミナルからバスで2時間で到着する。
ナザレからアルコバサまで20分で行くことができる。
ポルトガルの宗教建築物で最も重要なサンタ・マリア・デ・アルコバサ修道院は、
ポルトガルを建国したアフォンソ・エンリケス1世がイスラム軍との戦勝に感謝し
1178年に建造した、簡素・簡潔を基本とするシトー派の修道院で、
正面の幅が221mもありポルトガル最大の規模。
建築は、ロマネスクからゴシックへの過渡期の様式である。
勇敢王といわれたアフォンソ4世の子で、14世紀の国王であったペドロ1世と
姫コンスタンサの侍女イネスとの悲恋物語は有名であるが、
この二人の葬られた一対の石棺がマヌエル様式の礼拝堂に安置されている。
この石棺には、繊細で美しい装飾彫刻が施され、
ポルトガル・ゴシック芸術の最高傑作といわれている。
その、アルコバサ修道院前の商店街のベンチにふたりがいた。
若いふたりは、学生なのだろうか。
「アルコバサ修道院には、悲恋物語のふたりの棺があるんですって。」
「悲しい物語だよね。」
「イネスは、かわいそうだったわね。」
「ぼくは、絶対に君を悲しませたりしないよ。」
「ありがとう。今の言葉、ずっと忘れないでね。」
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