露天の朝市のふたり
リスボンのセッテ・リオス・バスターミナル駅から
バスで1時間10分ほどの場所にあるカルダス・ダ・ライーニャである。
列車駅のセッテ・リオス駅から直通列車で2時間10分。
乗り換えでも行けるが、運賃は高いし、時間もバスより遅い。
ナザレからは、バスで40分ほどで到着する。
温泉と陶器で知られる町、カルダス・ダ・ライーニャ。
オビドスの北に位置する人口2万人ほどの町である。
「王妃の湯治場」という名のとおり、ジョアン2世の王妃
レオノールが設立した鉱泉病院がある。
キャベツの食器シリーズなどで知られるボルダロ社の陶器は、
カルダス・ダ・ライーニャの工場で作られている。
風刺画家としても名をはせたラファエル・ボルダロ・ピニェイロがこの地に
窯をひらいたのは1884年のことである。
それ以来、レモンやキャベツの形をしたコーヒーカップ&ソーサー、
トウモロコシやアボガドをかたどったプレートなど、
ユニークな器を生み出している。
毎日、レプブリカ広場で開かれるポルタ・ダ・ヴィラと呼ばれる朝市は、
カルダス・ダ・ライーニャの町の台所である。
町の中心広場で開かれる朝市では、野菜、花、オリーブなどのほかに、
特産の陶器も売られている。
昼過ぎには仕舞い支度をする店も多いので午前中のほうが活気がある。
そんなにぎわう露天市場の果物店の前にふたりがいた。
女性は、大きなショッピングバックを持っており、買う気満々である。
「やっぱ、この店が1番いいわね。」
「あんまりたくさん買いすぎるなよ。」
「果物は体にいいのよ。」
「おれは、肉のほうがいいし・・・」
「オレンジ、グレープフルーツ、レモンを食べたいのよ。」
「すっぱいものばかりだな。ひょっとして・・・!!」
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