ケルース宮殿のふたり
リスボンのロシオ駅からシントラ方面行きの列車で15分で到着する。
本数も多く、リスボンから日帰りで行くコースにちょうどいい。
午後3時半をすぎると、入場料が2ユーロ安くなる。
リスボンから西へ13m、王家の別荘だったケルース宮殿があることで知られる町である。
ポルトガルのヴェルサイユと呼ばれるだけあり、規模的には小さいが優美な宮殿である。
ドナ・マリア1世とその夫ドン・ペドロ3世の夏の離宮として、18世紀に建造された。
現在は賓客のレセプションなどに使用されている。
宮殿内の見学はガイドツアーで行われる。
宮殿内で1番きらびやかな「王座の間」、
セルバンテスの小説をモチーフにした「ドン・キホーテの間」、
ハチの巣のような天井がユニークなティルーム、
発見の時代を描いたアズレージョがある「ソデの間」などを見ることができる。
庭園は、1762年のフランス人の建築家によってデザインされたもので、
刈り込みが美しく幾何学的なフランス式庭園と、
人工の滝や泉があるイタリア式庭園からなっている。
このふたつの庭園をつなぐのがライオンの階段で、
18世紀のアズレージョが見事である。
今日ではコンサート会場として使われることも多く、また迎賓館として多くの
国家元首や政府要人、外交官を迎えることもある。
野外の乗馬学校では、4月から10月まで、ポルトガル馬術学校による
パフォーマンスが行われている。
手入れされた刈り込みのフランス式庭園には、彫刻がたくさん設置されていた。
全部みてまわるのもたいへんなくらいの数である。
そのフランス式庭園にふたりがいた。
陽射しの強い中、女性はサングラスをしていた。
ポルトガルの太陽にはサングラスはかかせないものである。
手ぶらだったので、ケルース宮殿の学芸員なのかもしれない。
「平日の午後は、客足も少なくて、さびしいわね。」
「もっと、宣伝しないといけないかな。」
「なにか、いい方法がないか考えてよ。」
「そうだな。ワインでも飲みながら、考えようか。今晩、食事でもどうかな。」
「あらありがとう。でも残念だわ。今日は女子会があるのよ。」
「おれは、女子会以下かよ・・・」
|