ドウロ川沿いの広場のふたり
リスボンからセッテ・リオス・バスターミナルから高速バスで3時間30分程、
または、オリエンテ駅から特急列車で3時間でポルトに到着する。
リスボンから北へ約300km、ドウロ川北側の丘陵地に築かれた、起伏の多い街である。
人口約23万人、この国の商業の中心として栄えてきた。
フェニキア人やローマ人の時代から続く歴史が織り込まれた町並である。
ポルトは、カレ(ギリシア語で「美しい」の意味)と呼ばれており、
のちにポルトゥス(港)という言葉が加わって、ポルトゥス・カレとなり、
これがポルトガルという国名の起源となった。
ポルトのドウロ川に架かる橋は、正確には5つある。
ポルトを代表する2重構造のドン・ルイス1世橋は、1886年に
フランスのエッフェル塔設計者の弟子によって建てられた。
ほかに、自動車専用道路のアラビータ橋、
5つの中で最古のドナ・マリア・ペア橋(現在は使われていない)、
鉄道橋のサン・ジョアン橋がある。さらに上流にフレイソ橋がある。
ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア地区には約60か所のポルトワインセラーが並ぶ。
ドウロ川には、1960年代まで実際にワインを運んでいた各メーカーの
ラベーロと呼ばれる船が浮かんでいる。
多くのワインセラーで見学や試飲ができるようになっている。
場所によっては博物館や高級ホテルのような立派な建物のこともある。
そのワイン船が浮かぶドウロ川沿いの広場は憩いの場である。
ドン・ルイス1世橋のたもとには、多くの人々が集まる場所である。
椅子やベンチがたくさん並んでおり、休憩するにはいい場所である。
対岸にのレストラン街の丘の上にはクレリゴス教会の塔が見える。
リバー周遊フェリーの発着場もあるので、船やボートやヨットを見ることができる。
のんびりと過ごすには絶好の場所である。
そのドウロ川辺の広場のベンチにふたりがいた。
「日差しがまぶしいわね。本が読みにくいわ。」
「せっかくの休みなんだから本はやめろよ。」
「いいじゃない。本が好きなんだから。」
「こんなところでも本とは、よっぽど好きなんだな。」
「まだまだ、勉強は必要よ。」
「やる気満々でたのもしいよ。」
「そうよ。生活を支えているのは私なんだからね。」
「君のそういうところが大好きさ。」
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