ロシオ広場のジャカランダとふたり
リスボンは、大西洋に注ぐテージョ川の河口から約12km上流の
右岸に位置する、ヨーロッパ大陸最西端の首都である。
「7つの丘の街」と呼ばれる起伏が激しい土地である。
ポルトガルの首都リスボンは、大勢の人たちでにぎわっている。
レスタウラドーレス広場の南、ロシオ広場からテージョ川に面したコメルシオ広場までの
一帯は、バイシャ(低い土地という意味)と呼ばれる。
バイロ・アルトとアルファマも二つの丘に挟まれたこの地域は、基盤目状の道路に商店、
レストラン、土産店などが軒を重ね、リスボンでもっともにぎやかな繁華街となっている。
ロシオ駅の南に下ったところが旧市街地の中心であるロシオ広場である。
正式名はドン・ペドロ4世広場 Pr. Dom Pedro IV だが、リスボンっ子には
ロシオ(公共の広場という意味)の愛称で親しまれている。
中央の円柱の頂から広場を見下ろしているのは、初代ブラジル国王と
なったドン・ペドロ4世のブロンズ像である。
ジャカランダは、ノウゼンカズラ科、キリモドキ属、半耐寒性常緑高木。
世界三大花木の一つであるジャカランダは「熱帯の桜」とも呼ばれている。
熱帯や亜熱帯の各地では街路樹としても広く利用されている。
キリの花に似ていることから「桐擬き(キリモドキ)」と読んで愛した花だ。
ハワイでは日系人が日本の桜を偲んで「ハワイ桜」や「紫の桜」とも呼んでいる。
若木のうちは観葉植物のエバーフレッシュに比べて繊細な印象である。
対生羽状複葉の明るい緑色の葉を付ける。
小葉は長楕円状ひし形で長さは1cm程度である。
6月の初旬、ジャカランダの花が咲くロシオ広場にふたりがいた。
「今年は、ジャカランダの開花が遅かったわね。」
「そうだな。」
「やっと、咲いたって感じね。」
「そうだね。」
「花が咲くといい香りがするから好きなのよね。」
「そうだな。」
「あんまり話聞いてないわね。」
「そんなことないさ。君のいい香りで胸がいっぱいさ。」
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