巡礼地ボン・ジェズス教会のふたり
ポルトのサン・ベント駅から近郊列車で約1時間10分でブラガに到着する。
30分から1時間おきに運行するので、行きやすい場所である。
ヴィアド・カステロから列車とバス、ギマランイスからもバスが出ている。
「リスボンは楽しみ、コインブラは学び、ポルトは働き、そしてブラガは祈りの町である」という言葉からも明らかなように、
ブラガは、ポルトガルにおいて、信仰面で重要な役割を果たしてきている。
ブラガの歴史は古く、ローマ帝国の属州ガッラエキアの中心地Bracara Augustaとして繁栄した。
イスラム支配後、12世紀から18世紀にかけて大司教座が置かれた。
宗教の中心地として知られ、12世紀建造のブラガ大聖堂、郊外の巡礼地ボンジェズスがある。
大司教に仕えたアンドレ・ソアレスとカルロス・アマランテという建築家が、ブラガの町に新しい息吹を与えた。
ブラガの郊外には、バロック建築の手法が取り入れられたボン・ジェズス教会
(Bom Jesus do Monte)が建設されると同時に、市立図書館や多くの邸宅が建設された。
ボン・ジェズスは、ブラガ中心部から約6kmの郊外、緑に包まれた標高410mのコンゴーニャスの丘の斜面に広がる教会である。
ブラガの信仰の中心の一つがこの教会で、古くから聖地として知られ、多くの巡礼者が訪れている。
丘の頂上にあるネオクラシック様式の教会は、1784~1811年にかけて建設されたものである。
教会へと至る斜面にはバロック様式の荘厳な階段がジグザグに続いている。
階段の途中にはキリストの教えを表す石像や泉の噴水や礼拝所がある。
巡礼者は祈りを捧げながら、頂上の教会へと階段を上っていく。
教会からはブラガの町並みを一望のもとに見渡すことができる。
そのボン・ジェズス教会の丘の上の踊り場にふたりがいた。
「やっと、巡礼地ボンジェズスに来たわね。」
「そうだな。念願だったものな。」
「このすばらしい階段を見たかったのよ。」
「信仰深い人はひざまずいて登るらしいよ。」
「そこまでの信仰はないわね。」
「何時間あっても頂上までつかないかもな。」
「何をお祈りしたのかしら。」
「もちろん、君との結婚さ。」
「ほんとのこと言ってよ。」
「ほんとはね・・・内緒さ。」
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