ジェロニモス修道院と自撮りするふたり
リスボンは、大西洋に注ぐテージョ川の河口から約12km上流の
右岸に位置する、ヨーロッパ大陸最西端の首都である。
リスボン中心部からテージョ川沿いに6kmほど西にあるのがベレン地区である。
15世紀初め、ヨーロッパ列強が争っていた時代に、ポルトガルが悠然と道の海へと乗り出した。
輝かしい大航海時代の幕開けである。
エンリケ航海王子は海洋国ポルトガルの創始者となった。
ベレン地区には、大航海時代を代表する歴史的建築物が残されており世界遺産に登録されている。
ジェロニモス修道院とはポルトガルの首都であるリスボンのベレン地区にある修道院であり、世界遺産のひとつである。
マヌエル様式の最高傑作ともいわれ、大航海時代の富をつぎ込んで建築された。
ヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路開拓及び、エンリケ航海王子の偉業を称え1502年にマヌエル1世によって着工され、
1511年に回廊など大部分が完成したものの、その後、マヌエル1世の死やスペインとポルトガルの同君連合による中断等もあり、
最終的な完成には300年ほどかかっている。
その建築資金は最初バスコ・ダ・ガマが持ち帰った香辛料の売却による莫大な利益によって賄われ、
その後も香辛料貿易による利益によって賄われた。
付近には同じく世界遺産であるベレンの塔や発見のモニュメントが存在する。
2007年12月13日に、リスボン条約の調印式が行われた場所でもある。
そのジェロニモス修道院の前にある公園で自撮りするふたりがいた。
「いい場所を見つけたわね。」
「ここなら、ジェロニモス修道院がバッチシ入るだろう。」
「そうね。近いと壁しか入らないものね。」
「立ち位置もバッチリだろ。」
「この修道院はマヌエル様式の最高傑作といわれているのね。」
「南門の彫刻とか細かくてすごいもんな。」
「回廊の柱も全部違う彫刻らしいわね。」
「でも、もっとすごい彫刻を知っているよ。」
「え~。すごいわね。どこにあるの。」
「ぼくの目の前にいる君のことさ。」
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