グアルダ大聖堂とふたり
リスボンのセッテ・リオス・バスターミナルからバスで4時間程、
ポルトからヴィゼウ経由バスで3時間程、
カステロ・ブランコからバスで1時間半程でグアルダに到着する。
カステロ・ブランコとグアルダの間の列車は運行されていない。
地図でみるとつながっているようだが、途中までしかない。
リスボンからの列車もあるが、コインブラ経由である。
ポルトガルで最も高い標高1056mの山間の町、グアルダはひなびてはいるが、魅了する町である。
スペインとの国境からわずか37kmしか離れていないせいかもしれない。
北東のマロファ山地と南西のエストレラ山脈に挟まれたグアルダの町を国王サンショ1世が創設したのは1199年である。
スペインとの国境を守る(町の名前の由来)ために設けられた辺境の町ゆえに、城壁を始め、堅固な防備姿勢が求められた。
新鮮で健康的な山の空気が流れる中世の街並みは、御影石のやや黒ずんだ色合いによって高貴さを漂わせている。
この街のカテドラル (Catedral) もこの色である。
カテドラルの建設が始まったのは1390年。完成までおよそ150年を費やした。
巨大で高く存在感のあるカテドラルは、信仰と領土を守る象徴としての壮大な塔をもち、要塞のごとき外観を備えている。
見事なデザインとゴシック装飾の外観だけではなく、極めて天井の高い身廊や、石に彫刻を施した巨大な祭壇画のある内部である。
その要塞のような大聖堂の前にふたりがいた。
カテドラルは大きすぎて、全体がわからない。
グアルダの街を創設した国王サンショ1世の像が見える。
今日は、カテドラルのミサの日らしく、正装した人たちが集まっていた。
カテドラルの前にあるルイス・デ・カモンエス広場にふたりがいた。
「今日は、人が多いわね。ミサがあるのかしら。」
「そうだね。正装しているから正式なイベントなんだろうね。」
「きれいに撮ってよね。」
「まかしておきなよ。」
「カテドラルもちゃんと入るかしら。」
「それは、大きすぎて無理かもね。」
「あら、残念ね。」
「ばくは、君の顔だけで充分だけどね。」
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