ピニャオン駅ホームのふたり
ポルトガル第二都市ポルトから列車で2時間ほどでレグアに到着する。
ドウロ川に沿って走る列車は車窓が美しい。
レグアからドウロ川沿いに東へ23kmにピニャオンの町がある。
レグアから列車30分ほどでピニャオンに到着する。
全長925km、スペインに源を発するドウロ川は、ポルトガル北部の山岳地帯をゆったりと流れ、ポルトガルを経て大西洋に注ぐ。
アルト・ドウロを呼ばれるドウロ川上流地域は、ポルトガルが世界に誇るポートワインの産地である。
川沿いには山の斜面を利用したブドウの段々畑が広がり、季節によって表情を変える美しい景観だけでなく、伝統的なワインの製造方法も世界遺産として登録されている。
ピニャオンは、レグア同様、ワイン産業の要所で、かつてはワイン樽がラベーロでポルトへと出荷されていた。
運搬手段がトラックに変わった現代では、桟橋はリバークルーズ船の発着場となっている。
その前には、かつてのワイン倉庫を改装した豪華なホテルが建っている。
ピニャオン駅は、ブドウの収穫やワインの積み出し風景を描いたアズレージョ(装飾タイル)で彩られている。
ポルトガルで最も美しい駅のひとつと称されている。
ピニャオンからさらに奥へと進むとミランデーラの路線が分岐するトウアに到着する。
シーズン中だけ運行される蒸気機関車の停車駅となっており、構内には、鉄道関連の資料が展示されている。
ピニャオン駅は、ブドウの収穫やワインの積み出し風景を描いたアズレージョ(装飾タイル)で飾られている。
ポルトガルで最も美しい駅のひとつと称されている。
そのピニャオン駅のホームにふたりがいた。
1日に5本しかないポルトまでの列車を待っている。
「やっぱり、ポルトに帰りたくないわ。」
「学校があるんだからしかたがないだろ。」
「もう、やめようかなあ。」
「いままで、がんばってきたじゃないか。」
「それはそうだけど・・・」
「資格が取れたら、こちらでも働けるから戻ってこればいいさ。」
「そうね。それまで待っていてね。」
「当たり前さ、首を長~くして待っているよ。」
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