モンサントの路地のふたり
リスボンから、バスで3時間でカステロブランコに到着する。
そこから、バスで1時間半ほどでモンサントに到着する。
カステロ・ブランコから48km東のスペインに近い場所である。
ただし、モンサント行きバスは、1日に1本か2本しかない。
モンサントは、ポルトガルの東部、スペインとの国境付近の
エストレラ山脈の東にある小さな村である。
標高約758mに位置するモンサントの村は、
ポルトガルで最もポルトガルらしい村といわれている。
モンサントには村のいたるところにごつごつした大きな岩がある。
なかには、200トンの重さをもつ岩もあるそうだ。
この特異な地形から昔は聖なる場所として崇められていた。
ここに住む人々はこの大きな石を利用して家を建てている。
石造りの家が岩にしがみつくように建ち並び、 ある家は大岩を家の壁に利用している。
興味ひかれる自然の岩のアートだ。
この石は、地中のマグマが雨で冷やされ固まったものが、 後に地上に表れたものだ。
山の上にある集落は、中世の城砦の高い塔が目印となって 遠方からでも一目で
分かる事から、敵から身を守る戦略地として 大きな役目を果たしたようだ。
その岩山の斜面に建てられた家の間の路地にふたりがいた。
「この村の家は石を積んで造られているのね。」
「そうだな。時間のかかる地道な作業だな。」
「大きな岩を利用して造られた家もあるらしいわ。」
「取り壊さないで利用するところがいいよな。」
「岩肌はひんやりしていて、夏の暑さをしのげるらしいわ。」
「それはいいな。都会の住宅にも活用できないかな。」
「建築のことにすごく興味がありそうね。」
「そりゃあ、そうさ。君とのすてきな新居を建てないとな。」
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