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愛しのポルトガル写真集ギャラリー
(不思議な庭園にそびえるレガレイラ宮殿のシントラ5)
Portugal Photo Gallery --- Sintra 5

シントラ5 Sintra 5 6月1日 午前(小雨から晴天)

シントラは10年ぶりの訪問である。
シントラはリスボンのロシオ駅から列車で1時間くらいのところにある。
本数も多いので、リスボンから日帰りコースでいける場所である。
金曜日は、シントラの路面電車が運行するというので出かけることにした。
ポルトガル人気で、シントラの町は観光客であふれていた。

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シントラ123
レガレイラ宮殿外側1・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿外側1
シントラ124
レガレイラ宮殿外側2・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿外側2
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レガレイラ宮殿外側3・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿外側3
シントラ126
レガレイラ宮殿入口・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿入口
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レガレイラ宮殿庭園地図・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿庭園地図
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レガレイラ宮殿庭園1・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿庭園1
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レガレイラ宮殿庭園2・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿庭園2
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レガレイラ宮殿庭園3・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿庭園3
シントラ131
レガレイラ宮殿庭園4・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿庭園4
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レガレイラ宮殿庭園5・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿庭園5
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レガレイラ宮殿庭園6・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿庭園6
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レガレイラ宮殿庭園7・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿庭園7
シントラ135
レガレイラ宮殿庭園8・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿庭園8
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レガレイラ宮殿庭園9・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿庭園9
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レガレイラ宮殿庭園10・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿庭園10
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レガレイラ宮殿庭園11・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿庭園11
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レガレイラ宮殿庭園12・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿庭園12
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庭園からの宮殿1・シントラ in portugal
庭園からの宮殿1
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庭園からの宮殿2・シントラ in portugal
庭園からの宮殿2
シントラ142
教会の礼拝堂・シントラ in portugal
教会の礼拝堂
シントラ143
庭園からの宮殿3・シントラ in portugal
庭園からの宮殿3
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庭園からの宮殿4・シントラ in portugal
庭園からの宮殿4
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庭園からの宮殿5・シントラ in portugal
庭園からの宮殿5
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庭園からの宮殿6・シントラ in portugal
庭園からの宮殿6
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宮殿からのムーアの城壁・シントラ in portugal
宮殿からのムーアの城壁
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レガレイラ宮殿内部1・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿内部1
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レガレイラ宮殿内部2・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿内部2
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レガレイラ宮殿内部3・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿内部3
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レガレイラ宮殿内部4・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿内部4
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レガレイラ宮殿内部5・シントラ in portugal
レガレイラ宮殿内部5
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宮殿途中の道から1・シントラ in portugal
宮殿途中の道から1
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宮殿途中の道から2・シントラ in portugal
宮殿途中の道から2
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宮殿途中の道から3・シントラ in portugal
宮殿途中の道から3
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アズレージョの壁・シントラ in portugal
アズレージョの壁
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トリズモ・シントラ in portugal
トリズモ
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オープンレストラン・シントラ in portugal
オープンレストラン
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レストランの看板・シントラ in portugal
レストランの看板
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アズレージョ店・シントラ in portugal
アズレージョ店
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日本語表示1・シントラ in portugal
日本語表示1
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日本語表示2・シントラ in portugal
日本語表示2
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角の建物・シントラ in portugal
角の建物
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路地の商店街1・シントラ in portugal
路地の商店街1
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路地の商店街2・シントラ in portugal
路地の商店街2
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路地の商店街3・シントラ in portugal
路地の商店街3
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路地の商店街4・シントラ in portugal
路地の商店街4
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ツバメの飾り・シントラ in portugal
ツバメの飾り
シントラ169
ポップコーン売り・シントラ in portugal
ポップコーン売り
シントラ170
ツアー用バス・シントラ in portugal
ツアー用バス

 ≪シントラ5≫の手動・自動スライドショウはこちらからどうぞ!

見てね  シントラ5の説明  見てね

リスボン県
リスボン県地図

リスボンのロシオ駅から列車で約40分で到着する。
本数が多いので、日帰りコースとして気軽に行くことができる。

リスボンから西へ約20kmの距離にある。
深い緑に覆われた山中に、王宮を中心として、豪華な城館や貴族の別荘が点在する。
かつてイギリスの詩人バイロンが「この世のエデン」とたたえた。
美しい景観は、世界遺産にも登録されている。

ムーア人が築いた城の跡や、ポルトガル王室の夏の離宮など、
様々な年代の文化財が集積していることから観光地として有名であり、
また、ユーラシア大陸最西端のロカ岬への観光の拠点でもある。

★シントラ宮殿 - 14世紀にジョアン1世によって建てられた夏の離宮。
シンボルとなる2本の煙突が特徴である。

★ペーナ宮殿 - マリア2世の王配フェルナンド2世が建設した。
イスラム、ゴシック、ルネッサンス、マヌエルなど各様式の寄せ集めであるがそれが奇妙な魅力を生んでいる。

★ムーアの城跡 - 7から8世紀にムーア人によって建設された。
現在は、廃墟のようになっている。天気がよければ、大西洋を望むことができる。

★レガレイラ宮殿 - 12世紀に建設された王族の別邸を利用して、20世紀前半に、イタリアの建築家ルイージ・マニーニによって改築された宮殿。
庭園には、深さ60mほどのらせん階段や洞窟が造られ、随所に錬金術やテンプル騎士団のシンボルが施されている。

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「ポー君の旅日記」 ☆ 不思議な庭園にそびえるレガレイラ宮殿のシントラ5☆ 〔 文・杉澤理史 〕

≪2018紀行文・18≫
    === 第4章●リスボン起点の旅 === 興奮うっとり刺激的な〔キンタ・ダ・レガレイラ宮殿〕探索に痺れたのだった

          《昼下がりのシントラ》

 首都リスボンの西、大西洋のエストリル海岸に近い大樹が繁る標高500m地帯に、世界遺産〔シントラ〕の代表格である巨大な円錐型の白い2本の煙突で知られる建物〔王宮〕がある。 王宮から出たテラスに立つと、目前に白っぽい石塊(いしころ)で敷かれた石畳一面の〔レプブリカ広場〕が広がり、白馬二頭立て馬車が客を待っている。

 その馬車の向こうに、観光客で賑わう〔シントラ・ヴィラ地区〕の建物群がそれぞれ隣同士の建物と隙間なくぴったり寄り添って、それぞれ外壁の形も広さも色も変え、 樹木の濃い緑一色で覆われた背後の背高い岩山の中に溶け込む。 そして、これらの素敵な景色をすっぽり抱きこんだ青い大空の中を白い千切れ雲がゆったり流れていくのどかさは、まさに日本的な〔書割り舞台〕風情を観ているようであった。

 昼時を過ぎた広場の石畳には、朝方の冷え込みを忘れた観光旅人たちがセーターを脱ぎ捨て、路上のポップコーン売り親父を囲む。 ポンポン弾ける音が心地よく香ばしく、甘い香りを撒き散らす。太陽は、頭上だった。 歩く人影も、餌を探す鳩たちの影も、それぞれの足もと一点にちょびっと寄り添い動いて行く。

 6月1日金曜の午後1時30分、24.15ユーロの高額ランチを初めて食べる。 サグレス生ビール(6.95ユーロ)を40cmもある細身の長身ジョッキグラスで飲む。 旨さが喉から五臓六腑に染み渡る幸せを感じられた。 広場から〔レガレイラ宮殿〕に向かう路地にあった路上パラソルのテーブルに座ったそのカフェテラスが、まさか高級ホテルとは知らなかった。 だが、野老(ヤロー)は17年前のシスターたちが座っていた出会いの場所を目先に発見した。 シスターに囲まれた写真家のショットは、第1回目の写真展案内DMに使った思い出の空間だった。

「けいの豆日記ノート」
 はじめて、ポルトガルを訪れた時のことである。 西も東もわからない国で、何をするにも初めてのことばかりで不安もあった。 でも、「なんとかなるさ」のアバウトな気持ちでなんとかなっていった。 リスボンから日帰りで行けるシントラも訪れた。 その当時は、こんなに観光客がいなく、穴場的な存在であった。
 周遊バスに乗るために待っていると、シスターたちに出会った。 「写真を撮ってもいいか?」とジェスチャーで伝えたら、気軽に応じてくれた。 シスターたちの真ん中に入り、写真を撮らせてもらった。 シスターたちは、満面の笑顔でフィルムに保存されることとなった。 その時の写真が帰国後の第1回目の写真展の案内状の写真になり、このホームページのトップの写真にもなった。 記念すべき、1枚の写真である。

 日射しは道行く人びとを裸にさせた。半パン半袖でサングラス。 真夏の出立ち急ぎスタイルに急変だった。 SINTRA TURISMOの文字も大きく、3階建て建物そっくりが〔シントラ観光案内所〕。 その前に立つ標識盤と建物を仰ぎ見に写真家は撮る。 行先〈←quinta de Regaleira〉は、目的地「レガレイラ宮殿」。 撮る脇をすり抜け観光案内所に冬支度姿で入っていった旅びと老夫婦が、出入口扉から出て写真家に愛想笑いして擦れ違う。 一瞬にしてのマジシャン並の早技、真夏日姿に大変身。写真家の驚いた顔が愉快だった。

 レガレイラ宮殿への道は大型バスが通れるかどうかの道幅に、太い街路樹が日差しをさえぎり道幅一杯に揺れる葉影模様が涼し気な細波(さざなみ)のようにつながる。 道端に洒落た大きな水飲み場が残っている。 海にも近いシントラは急激な坂をくねくねと登り、標高500mの濃い樹木に覆われ絶えず霧や雨雲がかぶさり、雨が地下水となり至る所に泉が湧き出ている。 その泉の水飲み場が残っていた。 アズレージョタイルで飾られた天使たちから、チョロチョロと湧き出る清水の音がいい。 そしてちょっと歩いた先で、高さ3m程の石積みの間から吹き出した糸状の水舞を見た。

 20分も歩くと左手石組みの塀に石細工の手摺りがつながり、その中にシダや樹木が生茂る先に10年ぶりの美しい〔レガレイラ宮殿〕の雄姿があった。

「けいの豆日記ノート」
 周遊バスは、レガレイラ宮殿には、走っていない。 一般のバスがあるらしいが、歩いて行ける距離なので、もちろん歩いて行く。 途中の家並みや景観を見るのも楽しいものである。 ゆるやかな坂道を登るので、思ったよりも距離があるが、レガレイラ宮殿の塀が見えてくると歩いて良かったと思う。

          《quinta de Regaleira》

 10年前の2008年、ここに、初めて来て見た時の思い出が甦(よみが)える。 【その建物は、急に目の前に現れた。一瞬にして建物に吸い込まれそうな衝撃を受ける。 宮殿としては決して大きくはなかったが、エキセントリックな〔キンタ・ダ・レガレイラ〕だった。 まるで、このまま宮崎駿監督作品『ハウルの動く城』で描かれたあの館のように、今にも動き出すのではないかとさえ思えた。】 この書き出しは、2008年6月7日〔シントラ〕2回目の紀行文だが、実はシントラには2001年9月に初の〔ポルトガル撮影取材旅〕で来た。 (その時の[地球の歩き方]にシントラの「レガレイラ宮殿」巡りはなかったが、07年版に初登場した)

 『この館と庭園にある物は、すべてに意味が込められ作られている。つまり、意味なく造られた物は何ひとつない』と思う。 このひと言を聞いて、シントラを再度訪ずれてみたいと思ったのは、2006年10月。 情報をくれたのは、首都リスボンから北300kmにある第2都市ポルトに住むYUKOさんだ。 ポルトに住むナイスガイに嫁いで当時30年になる弘前生まれの才女だった。 NHKラジオ〈地球ラジオ〉で、ポルトガル情報を語ってもいたそんなYUKOさんと知り会えたのは、2004年に相棒が一人で立ち上げたこの〈ホームページ〉が縁だった。

 そして〔撮影取材旅5回目〕の2006年10月、ポルトの[日本語補習校]立ち揚から教壇に立っていたYUKOさんのお陰で補習校の様子が撮影できる。 特に生徒が日本人やブラジルなどの子供や成人。 撮影許可を取るのに多大な怒力をお掛けしたようだ。これが初めての出合いだった。 YUKOさんから昼食をレストランでご馳走になったとき、益々、意気投合した会話があった。

 YUKOさんがアメリカに留学していた時、アメリカ〔1ドル紙幣〕の裏側に奇妙なデザインで印刷されたているのが気になる。 アメリカ紙幣なのになぜかピラミッド。 それも、ピラミッドの先端が更に小さな三角形があり、その中に人間の片目が描かれている。 何を意味しているのか調べる。 それは、[万物を見通す叡智の目]という意味で、フリーメーソンのシンボルだと知る。 更に初代大統領ジョージ・ワシントンは、薔薇十字団の会員だという。 中世のヨーロッパでは、幾つもの秘密結社が生まれ、その一つが薔薇十字団でありフリーメーソンリー(リーがつくと団体名になる)であると言われている。 と魔法の言葉のようにYUKOさんから初めて聞く。

 小説『ダ・ヴィンチ・コード』(ダン・ブラウン著)で一躍脚光を浴びた〔テンプル騎士団〕や〔フリーメーソン〕に興味を抱き、 時間を見てはポルトガル各地を医師の夫を運転手に飛び回り調べている。 3ヶ月後の10月には〔キンタ・ダ・レガレイラ〕に行くと聞き初めてシントラの情報を得た。 (前述の、翌年の07年版より前だった) YUKOさんは、この館と庭園に何かを感じ取ったのかも知れない、と興味を増幅させてくれた。

 〈キンタ・ダ・レガレイラ〉は、12世紀に王族の別邸であったのを、1840年に裕福だったレガレイラ男爵が入手しその名が残ったと言う。 12世紀から19世紀までの間には所有者が転々と変わっていったらしい。 レガレイラ男爵も1893年に富豪モンテイロに売却している。 そのモンテイロが20世紀初めに、イタリアの建築家ルイジ・マニーニと共に改築。それが現在残っている姿だという。 この二人が〈キンタ・ダ・レガレイラ〉に謎を刻み込んだとされているようである。

 まるで宝探しみたいであったが、野老の知識と手薄なポルトガル語では、館内の説明パネルを解読できず。 館内を1時間15分も歩き回り立ち止まり、写真家のシャッター音を聞きながら野老も推理を働かせた。 内部を絢爛豪華な宮殿というイメージではなかったが、装飾の一つ一つが凝って品格もあった。 YUKOさんの魔法の言葉が頭を支配していたためかも知れないが、室内の明かりも展示物のための灯りではなく、当時の生活空間をそのままに体験させてくれているような親切心があった。 推理の入り口にも到達できなかった。でも、興奮だけは尾を引いた。

 その時の「けいの豆日記ノート」には、こう結んであった。 「レガレイラ宮殿には、秘密がたくさんあるらしい。変わり者で大富豪だったアントニオ・カルヴァーリョ・モンテイロが発注したことも変わった宮殿の秘密かも知れない。 ブサコ宮殿を設計し、舞台芸術もやっていたルイジ・マニーニが設計したという。 独特の雰囲氣の美しさだけでなく、至るところに秘密が隠されてあるらしい。 いつも、後から思うのだが、もっと勉強して研究して見たら、細かいところの芸術が解ったのではないかと思う。 この宮殿だけでも、見どころ満載で、何日かよっても見尽くせないところなのかも知れない。 まあ、芸術を見るための旅ではないので・・・」

 YUKOさんにお会いしてから、〔テンプル騎士団〕や〔フリーメーソン〕、〔キンタ・ダ・レガレイラ〕の神秘さの話に刺激され、12年の月日が流れる。 この間、〔ポルト〕を訪ねる度、時間の都合がつくと会っていただき、ご馳走になるばかりで感謝に耐えません。 娘さんはポルトの高校を卒業後、一発で日本の早稲田大学入学・卒業。 息子さんはリスボン大学を卒業後、東京で活躍。 年に一度、1ヶ月ほどYUKOさん来日。 でも、娘、息子、故郷の人びと、東京や大阪などの友人知人を新幹線で日本中を駆け回る忙しさ。 それを知っての我らは控え目に。野老も間もなく傘寿。YUKOさん、ありがとうです。 なんて、紀行文がお手紙になって恐縮。

「けいの豆日記ノート」
 はじめてのシントラ訪問では、ガイド本とおりに周遊バスに乗り、王宮、ムーアの城壁、ペーナ宮殿を見て回った。 レガレイラ宮殿があることすら、知らなかった。 そのころのガイド本には、レガレイラ宮殿のことは、まったく記載されていなかったのである。 シントラの地図の中に名前はあったが、説明が全然なかった。 レガレイラ宮殿という興味深い建物があるということを、ポルトの住むYUKOさんのブログや話を聞いて、はじめて知ることになる。 「こんな素敵なところがあるのに、なんでガイド本には記載されていないのだろう」と思っていたら、数年後には説明が入るようになっていた。

           《迷路の庭園と地下水路》

   さて、2018年6月7日、朝の冷え込みが嘘のような日中の暑さ。 冬場姿の観光客も夏姿に大変身。高い昼ランチを済ませ、10年ぶりの〔キンタ・ダ・レガレイラ〕参りだ。狭い道を進むこと20分。 高く積まれた石塀の向こうに、10年ぶりの美しい〔レガレイラ宮殿〕の雄姿があった。 〔宮殿〕にそそぐ真上に近い太陽からの陽射しはやわらかく、空の色は、あ〜あ、これが透き通るようで重厚な青空だと、 片膝をポンと軽く打ち鳴らしたい衝動(しょうどう)にかられる美しさだ。

 高い壁に高い鉄扉がゲイトだ。閉まっていた。 ゲイトは急坂を登った先だと半パン姿の金髪娘が教えてくれた。 オブリガード!と礼を言ったが、野老の腿筋には激痛が走る。 写真家に、先に行って切符を買っていてと声をかけた。 薬はいらない。1分間の静止が必要だった。腕時計の針は2時30分。 坂道は宮殿をぐるり巻きつくように延びていた。坂上のゲイトに着くまで7分もかかった。 入場料18歳〜64歳(6ユーロ)、65歳〜79歳(4ユーロ)、80歳位上は0ユーロ。(パスポートの提示が必要)。

「けいの豆日記ノート」
 以前に訪れた時の正面入り口の門が閉まっていた。 レガレイラ宮殿の裏側にまわったところに入り口があるらしい。 そこまでの道は今までと比べものにならないほどの急坂であった。 距離的には、短いのかもしれないが、かなり辛い道のりである。 ハアハア状態でやっと入り口に到着した。 入場料が割り引きになるところはよくあるが、80歳以上無料という表示は初めて見た。

 広大な庭園は樹木でおおわれ、迷路のようだった。 〔王宮〕からここに来る道より広い通路や広場があり、10年前はスカスカだった入場者も、あまりの多さに驚く。 庭園のところどころに石組みの螺旋状に登る塔がある。 塔は、天体観測を装っていたが、実は当時もご法度の《錬金術》がある地下に通じる誤魔化しの塔だという説もある。 レガレイラ宮殿には、そのための地下迷路が張り巡っていた噂は謎として神秘的に伝授されている。 庭園迷路説は嘘のようには思えない楽しさ愉快さが体感的に感受させられる。 そのひとつが観光的に人気を博す石積みの大きな塔が解放されている。

 10年前にもあったのかも知れないが、当時は極小の人数だったため、我らは気付かなかった節も考えられる。 塔内は暗いかも知れないと〔ヘッドライト〕を、野老の分まで持参用意してきた相棒だった。 迷路の地下通路は、薄暗い明かりに照らされた地下ドームに流れていた。 錬金術に水は必要負荷ではなかったのか。何処が謎とは説明が無いため、脳が勝手に低迷していた。

「けいの豆日記ノート」
 「真っ暗な洞窟もあるのでペンライトは必要」との情報があったので、行く前に首に下げるタイプのライトを購入した。 これだと、手が空くので、カメラも持てるし、安全かと思ったからである。 確かに、地下洞窟は暗かったが、道筋を案内するかのような小さなライトがついていた。 ペンライトなくても大丈夫であった。 迷宮への入り口のようならせん階段もあり、地上の光が小さく見える場所もある。 以前に通った場所でも、池の奥が洞窟になっていたりするので、中に入れると気が付かなかった。 目の前に洞窟がありながら、見逃してしまっていたのだ。 看板とか出ているわけでなく、自分で見つけるしかないのである。 いろいろと、探検することができるので、おもしろい庭園である。

          《ミステリーワールド》

 〔宮殿〕のどの外窓枠にも、兎や鷹などの動物の姿がひっそり忍んだ不思議な細工が施され、その飾り付けは凝りにこっていた。 今までポルトガル各地で、いろいろな建物の飾り窓細工を見てきたが、ここの細工にはひと工夫された印象が強い。 トゥリズモ(観光案内所)で貰った資料によると〈キンタ・ダ・レガレイラ〉は、当時「富豪モンティロの館」と呼ばれていて、 彼は資産をつぎ込んで改造改築したようだが、前の姿と比較は出来ないので資料を信じるしかない。 ゴシック様式のバルコニーから館内に入った。

 館内は総体的に薄暗い。明かりは種々の形をした窓からの自然光であり、白い壁に真っ赤な扉。 木製の飾り手摺の階段を上がると、鎌倉彫みたいな装飾天井。 太宰治が生まれた館の〔斜陽館〕の2階に行く手摺りと天井を野老は思い出す。

 次の間に入ると大きなモノクロ写真で男の正装した顔が飾られている。 富豪モンティロか。内扉の取手(ノブ)は、長い舌を出し丸い団扇をくわえた二頭のライオンの顔である。 狭い通路の先に階段があり、階段の壁は釣鐘草の形をしたガラス照明傘が朱色に浮かぶ。 野老はドッキリしたが説明はできない。その階段の上で写真家が階下にカメラを向けていた。 何を撮ったのだろうか。

 窓から外光が差し込んでくる狭い通路を歩いていくと、薄暗い部屋がある。周りから音の一つもない静寂さ。 足がちょびっとすくむ。薄暗い部屋に入った。壁に吊るされたデスマスクがボーと浮かぶ。 更に、三角形の中に、片目が見開かれた白い焼き物が吊され動く。 1ドル札の裏面の小さな三角形、その中に人間の片目。 YUKOさんの話がダブって、野老の頭に小さなランプが灯る・・・。

 17時過ぎ、〔シントラ・ヴィラ地区〕の密集した狭い坂だらけの路地裏街の商店街が楽しみをくれた。 背後の高い石山に繁る樹木までの奥行きがあり、市民の住宅地にもなっていた。 その狭い坂道の途中にギャラリーがあり、日本人向けにアズレージョ(装飾タイル画)を売っていた。 看板に手書きで、つたなく書かれていた日本語文字。 「〜〜手描きタイル〜〜 アーティストが中でかいてます 注文受けつけます ゆうそうします〜」  18時、シントラ駅から列車に乗り、19時リスボンのロシオ駅に着く。

●漢字に(・・・)と読みを容れていますが、読者の中に小・中学性の孫娘達がいますので了承ください。(野老)●

                              *「地球の歩き方」参照*

終わりまで、ポルトガル旅日記を読んでくださり、ありがとうございます。
今回分は2020年5月に掲載いたしました。

 ≪ポルトガル写真集&紀行文・2018年版≫ バックナンバー&予定は、こちらからどうぞ・・・

2018−1話
リスボン19
Lisboa 19
2018−2話
オビドス3
Obidos 3
2018−3話
ファーロ2
Faro 2
2018−4話
アントニオ2
Vila Real de Santo Antonio 2
2018−5話
ファーロ3
Faro 3
2018−6話
タヴィラ2
Tavira 2
2018−7話
サグレス2
Sagres 2
2018−8話
ラーゴス2
Lagos 2
2018−9話
ポルト18
Porto 18
2018−10話
ヴィアナ・カステロ2
Viana do Castelo 2
2018−11話
アゲダ
Agueda
2018−12話
アヴェイロ3
Aveiro 3
2018−13話
ピニャオン2
Pinhao 2
2018−14話
レグア3
Regua 3
2018−15話
ヴィラ・レアル2
Vila Real 2
2018−16話
リスボン20
Lisboa 20
2018−17話
セトゥーバル2
Setubal 2
2018−18話
リスボン21
Lisboa 21 & Cacihas 3
2018−19話
カルダス・ライーニャ3
Cacihas 3
2018−20話
ペニシェ
Peniche
2018−21話
シントラ4
Sintra 4
2018−22話
シントラ5
Sintra 5
2018−23話
リスボン22
2018−24話
リスボン23
2018−25話
リスボン24
2018−26話
リスボン25

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2016−1話
リスボン15
Lisboa 15
2016−2話
カステロブランコ2
Castelo Branco 2
2016−3話
モンサント2
Monsanto 2
2016−4話
ペーニャ・ガルシア
Penha Garcia
2016−5話
イダーニャ・ア・ヴェリア
Idanha a Velha
2016−6話
モンサント3
Monsanto 3
2016−7話
カステロ・ノーヴォ
Castelo Novo
2016−8話
カステロブランコ3
Castelo Branco 3
2016−9話
グアルダ
guarda
2016−10話
ピニエル
guarda
2016−11話
カステロ・ロドリゴ
Castelo Rodrigo
2016−12話
アルメイダ
Almeida
2016−13話
カステロ・メンド
Castelo Mendo
2016−14話
ポルト15
Porto 15
2016−15話
アマランテ2
Amarante 2
2016−16話
ポルト16
Porto 16
2016−17話
ポルト17
Porto 17
2016−18話
ブラガ3
Braga 3
2016−19話
ボンジェズス
Bom Jesus
2016−20話
ブラガ4
Braga 4
2016−21話
アザルージャ2
Azaruja 2
2016−22話
リスボン16
Lisboa 16
2016−23話
リスボン17
Lisboa 17
2016−24話
リスボン18
Lisboa 18

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リスボン13
Lisboa 13
2013−2話
カスカイス3
Cascais 3
2013−3話
ナザレ2
Nazare 2
2013−4話
バターリャ2
Batalha 2
2013−5話
アルコバサ2
Alcobaca 2
2013−6話
カルダス・ダ・ライーニャ2
Caldas da Rainha2
2013−7話
ナザレ3
Nazare 3
2013−8話
ポルトデモス&クレアなど
Porto de Mos & Ciria
2013−9話
コインブラ5
Coimbra 5
2013−10話
コインブラ6
Coimbra 6
2013−11話
ヴィゼウ2
Visau 2
2013−12話
ポルト12
Porto 12
2013−13話
バルセロス2
Barcelos 2
2013−14話
ギマランイス2
Gumaraes 2
2013−15話
ポンテ・デ・リマ&リンドーゾ
Ponte de Lima & Lindozo
2013−16話
ポルト13
Porto 13
2013−17話
ポルト14
Porto 14
2013−18話
ケルース2
Queluz 2
2013−19話
リスボン14
Lisboa 14

 ≪ポルトガル写真集&紀行文・2012年版≫ バックナンバー&予定は、こちらからどうぞ・・・

2012−1話
リスボン10
Lisboa 10
2012−2話
サンタレン
Santarem
2012−3話
エントロンカメント
Entroncamnto
2012−4話
トマール2
Tomar 2
2012−5話
トマール2
Tomar 3
2012−6話
コインブラ3
Coimbra 3
2012−7話
カンタニェデ&アンサー
Cantanhede & anca
2012−8話
ピオダン
Piodao
2012−9話
コインブラ4
Coimbra 4
2012−10話
ペネラ
Penela
2012−11話
アザルージャ&エヴォラモンテ
Azaruja&Evoramonte
2012−12話
エルヴァス2
Elvas 2
2012−13話
エルヴァス3&バダホス
Elvas 3 & Badajoz
2012−14話
エストテモス2
Estremoz 2
2012−15話
モンサラーシュ2
Monsaraz 2
2012−16話
エヴォラ4
Evora 4
2012−17話
エヴォラ5
Evora 5
2012−18話
リスボン10
Lisboa11 & Cacihas2
2012−19話
リスボン10
Lisboa 12
2012−20話
マフラ3&エリセイラ2
Mafra 3 & Ericeira 2

 ≪ポルトガル写真集&紀行文・2008年版≫ バックナンバー&予定は、こちらからどうぞ・・・

2008−1話
リスボン5
Lisboa 5
2008−2話
カスカイス2
Cascais 2
2008−3話
エストリル2
Estoril 2
2008−4話
シントラ2
Sintra 2
2008−5話
シントラ3
Sintra 3
2008−6話
リスボン6
Lisboa 6
2008−7話
ポルタレグレ
Portalegre
2008−8話
カステロ・デ・ヴィデ
Castelo de Vide
2008−9話
ポルタレグレ2
Portalegre 2
2008−10話
ポルタレグレ3
Portalegre 3
2008−11話
ポルタレグレ4
Portalegre 4
2008−12話
マルヴァオン
Mrvao
2008−13話
リスボン7
Lisboa 7
2008−14話
リスボン8
Lisboa 8
2008−15話
クリストレイ
Cristo Rei
2008−16話
カシーリャス
Cacihas
2008−17話
ノゲイラ・アゼイタオン
Nogueira Azeitao
2008−18話
フレスカ・アゼイタオン
Fresca Azeitao
2008−19話
エヴォラ2
Evora 2
2008−20話
ベージャ
Beja
2008−21話
ベージャ2
Beja 2
2008−22話
セルバ
Serpa
2008−23話
ヴィラヴィソーザ
Vila Vicosa
2008−24話
ボルバ
Borba
2008−25話
ルドンド
Redondo
2008−26話
エヴォラ3
Evora 3
2008−27話
アライオロス2
Arraiolos 2
2008−28話
ポルト8
porto 8
2008−29話
アヴェイロ2
Aveiro 2
2008−30話
コスタ・ノヴァ
Costa Nova
2008−31話
ブラガ2
Braga 2
2008−32話
ポルト9
porto 9
2008−33話
ポルト10
porto 10
2008−34話
ポルト11
porto 11
2008−35話
リスボン9
Lisboa 9
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