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≪マデイラ島の地図≫ |
☆カマラ・デ・ロボスの説明 (写真の上をクリックすると大きな写真が見れます。)☆
地名の意味は、カマラとは穴、ロボスはオオカミ。つまりオオカミの穴。
フンシャルの中心からホテル地域を抜けて15分のくらいドライブしたところにある。
深い海辺に小さくまとまった感じの町である。
色とりどりの漁船が集まるこの島有数の漁港である。
チャーチルが晩年を過ごして、絵を描いた家がある。
「ポー君の旅日記」 ☆ 小さな漁村のカマラ・デ・ロボス ☆ 〔 文・杉澤理史 〕 ≪2006紀行文・18≫ 《漁村カマラ・デ・ロボスに行く》 テラスに出る白ペンキ塗り木製の戸を開けると、抜けるような青空が飛
び込み、白いちぎれ雲が大空を遊ぶように浮かんでいた。
それに、朝日に輝く大西洋からフンシャル港に入っていく白い豪華客船
がヴォーと音を響かせ、目の前のオレンジ屋根の上を左から右に向かって
移動していく姿が見える。また、港から大西洋に向かって出航して行く豪
華客船が朝陽に浮かび上がる。 1階に下りると「けいこ、ボンディーア!」とミラおじさんが笑顔いっ
ぱいで迎えてくれた。勿論、相棒は笑顔で「おはよう!」と返す。朝食の
オマケであるスクランブルエッグがテーブルに用意されていた。 「けいの豆日記ノート」 今朝はカフェのおばあさんには会えなかった。坂を下らずに登り、住宅 地を左折してバスターミナルに向かったからだ。きっと、あのおばあさん は我々に会えると信じ、小さな椅子に座り待っているに違いない。ごめん なさい。相棒のシャターが鳴っている。民家の屋根すれすれにロープウエ イのゴンドラが昨日行った名物《トボガン》の里、モンテの町に向かい青 空の中をゆっくり登っていった。 始発15分前に、バスターミナルに着いたが人影がない。30分以上も
待って始発のバスがやっと来た。乗客はふたりだけだった。カマラ・デ・
ロボスまで、バス代は一人1.40ユーロ〈224円)だ。 「けいの豆日記ノート」 降りたバス停の背後には、急斜面の段々畑が青空の彼方まで伸びている。
その広大な段々畑はマデイラ産のバナナ畑だった。
このバナナは年間4〜5万トンも輸出されているらしい。
ポーの脳裏に、この島の首都フンシャルの市場で食べさせてもらったバ
ナナのあの味がよみがえる。マデイラ島の小ぶりなバナナは、築地市場に
も名古屋市場にも現れないと思うが、この美味さは本物のバナナの美味さ
があった。 《カマラ・デ・ロボスで絶景ジラン岬を見た》 そして、道路の反対側には海面がちらりと見えるがレストランの建物が 視界をさえぎる。走り去る車をぬって道路を横切ると、レストランの先に えぐりとったような地形が飛びこんできた。深い眼下にU字型の小ぶりな 美しい入江が大西洋にそっと両手を差し伸べているように見えた。 その要がひと握りの漁港だ。その漁港に色鮮やかな漁船が陸あげされて いる。漁港の背後にはオレンジの屋根と白壁の家々が密集し、丘に向かっ て連なっていた。 えぐりとったような狭い漁村であったが、紺碧の海に包み込まれ、そこ
に住む人々の日常生活の暖かさが伝わってきた。
ポーは、この光景の美しさに打たれ、なぜか納得した。それはカマラ・
デ・ロボスという地名だった。持参しているポ日辞典で引くと、カマラと
は、室。ロボスとは、狼。〈狼の室〉と直訳できる漁村だったからだ。 その〈狼の室〉に向かって急坂を相棒のシャッター音と共に駆け下って
いた。まじかに見ても漁港は小さかった。10mもない色彩鮮やかな漁船
が30隻ほどぎっしり陸あげされ、青年が船底の貝を削り落とし青いペン
キを塗っている。 「けいの豆日記ノート」 入江の岸壁は釣り人天国だった。釣り人もその様子を眺める人もこの地 に来た観光客だ。ポーも岸壁から覗きこむ。透明な海の中に泳ぐ魚群がは っきり見える。釣り好きなポーは、わくわくする。釣り糸を垂らしたくな っていた。(見える魚は、釣れないとは知ってはいたが・・・) 入江の先っぽは黒い溶岩でおおわれている。そこを抜けると海辺に手す り付きの狭い急斜面階段があった。 相棒の行動は素早い。登れば何処かに抜けられると判断しての行動だ。
それが、気ままな何時もの撮影取材だった。見た目以上に石段は急できつ
かった。左の手すり側は断崖で大西洋の紺碧の海面が眼下で波飛沫を上げ、
右側は岩場の壁だ。石段の上から相棒の声が降ってきた。 そして、上でまた声が上がった。歓喜の声だった。ポーがたどり着くと
石段の狭い踊り場で相棒はシャター音を響かせていた。レンズの先には今
まで見たこともない絶景が波間の先に広がっていた。 「けいの豆日記ノート」 《天空のブランコで楽しむ天使に出会った》 海辺の斜面にサボテンが花をつけ大西洋の海風に揺れる狭い石段を抜け ると、花が咲き乱れる丘の上に出た。さすが南国の楽園であった。青い小 粒の花が咲き乱れる中に簡素な丸太組のブランコがあり、眼下に見える漁 村の屋根を越し、青空に向かって髪の毛の長い少女達が前後に大きく揺れ ていた。その光景にポーの心も揺れていた。今までこんな優雅で晴れ晴れ とした至福の空間を見たことがかつてあったろうか。 爽(さわ)やかな海風と燦燦(さんさん)と照りつける陽射が丘の上に 建つ〈天空のブランコ〉を優しく包み込んでいた。 そして、そのブランコで無心に遊ぶ天空を舞う少女達は〈天使〉だった。 「けいの豆日記ノート」 〈天使の丘〉から住宅地の急坂を下った。オレンジの屋根越しに紺碧の
入江の海が見える。相棒のシャッターの音が軽やかに響く。それが心地よ
く伝わってくる。日本の〈尾道の町〉で体験した、あの急斜面を下るのと
同じ感触だった。 坂を下ると漁村のメインストリートに出た。小さな漁村だから狭いと思 っていたが意外と道幅が広く、漁師の家も白壁を美しく塗り上げぎっしり と並び、その家々の間に狭いカフェがあり食堂もある。また、気楽に泊ま れそうな民宿が幾つも見られ、漁村の中心地には小さな教会が、石畳の先に 陽射を受けて物静かに建っていた。急坂を登ったり下ったりした脚は棒の ようになっていたので、教会に入り休むことにした。しかし、内部に入って ポーは釘づけになった。入り口は狭いが奥が深かった。収容人数は100 人は軽く入れる広さがあり、その中で20人ほどが祈りをささげていた。 今日は日曜日だ。漁師の家族は午前中に祈り、漁に出た漁師達が今祈っ ているのかも知れない。もう昼下がりなのに 人数の多さに驚いたからだ。 漁師は毎日が船底1枚の死と隣り合わせの生活をしているため、信仰が厚いのかと思う。 中央の祭壇は、暗がりの中でやわらかい明りで浮かび上がっている。装飾 も木目細かく彫り込まれ渋い金色で輝いている。そして、やや高い位置に 十字架に張りつけられたキリスト像が ひときは印象的に 浮かび上がってい る。思わず膝を着き 手を合わせたくなるほどであった。雰囲気に痺れたポ ーは、島の漁村で思いもしなかった教会に出会え、感動した。 「けいの豆日記ノート」 《天ぷらを食べる》 カマラ・デ・ロボスに着いてから2時間も歩いていた。休もうと思ってい
た教会だったが雰囲気に圧倒され、木製の黒光する長い椅子に座ることな
く10分ほどで外に出た。11月なのに太陽の陽射はきつかった。 来たとき降りたバス停前のレストランの入り口に、給仕の姿をした人形 がメニューを持って立っていて、それに〈ランチスペシャル〉フィシュ・ チップス・サラダ9.5ユーロ(1520円)と書いてあったからだ、と言っ た相棒はその人形に駆け寄って人形と同じポーズをとっている。仕方なし にポーはデジカメを向けた。撮った。 道路から建物の下を潜り抜けると眼下に〈狼の室〉が一望できるテラス
に出た。そこに細長くテーブルが10ヶ所並んでいて、5組がランチ中だ
った。給仕が薦めたテーブルに座ると別の給仕が氷の上に魚を並べてやっ
てくる。魚には背番号みたいに、12とか15とか6とか紙に書いた数字
が貼りつけられている。 そこに別の給仕が料理を運んできた。大きな皿に揚げ物、揚げポテト、
サラダで山盛りだ。しかも、1人前だ。相棒はホッと、安堵の表情。 勘定の際に相棒は、当然折り鶴を更に10羽お金と一緒に差し出した。
厨房からウオ−ッ!と歓声が聞こえてきた。若い給仕にあげた1羽の折り
鶴が厨房まで羽ばたいていたとは思ってもいなかった。 「けいの豆日記ノート」 《あの、コロンブスに会う》 街中に入る手前で市営バスを降りた。ガイド本の地図を見ると、フンシ
ャル港沿いに大きな公園がある。サンタ・カタり−ナ公園だ。南国の太陽
が照りつけるのが心地よい午後2時過ぎだ。まだ散策時間は充分にあった。 公園の目の前はフンシャル港。そこで目の当りに出来たのは、豪華客船 の勇姿だった。ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。いっぺんに憧れだった 世界を優雅に航行する豪華客船ばかりだった。こんなに簡単に見てもいい のかと尻込むほどの景観であった。世界の豪華客船が日替わりで入港して くるマデイラ島フンシャル港に圧倒された。あの豪華客船の一つ一つの客 室の窓の中から海洋を見詰めて旅を続ける人々の人生って、どんな人たち なのだろうかと、ふと思うポーだった。 「けいの豆日記ノート」 《メロンが、夕食》 スーパーマーケットで夕食の調達だ。相棒の目的はひとつ、それはメロ
ンだった。一昨日食べたあのでっかいメロンのひとり食いが、忘れられない。
なにせ、顔よりでかいメロン半分で、1.72ユーロ(275円)だ。
その他に、赤ワイン1ビン0.89、水1ボトル0.19、マンゴ1個1.
06、計3.86ユーロ(618円)だった。 「けいの豆日記ノート」 メロンで満腹満足な相棒は、撮ったフィルムに通し番号をマジックペン で書いている。テレビ画面からは、ドラえもんが頭の上に竹とんぼをつけ て空を飛び、ポルトガル語をしゃべっていた。 *「地球の歩き方」参照*
終わりまで、旅日記を読んでくださり、ありがとうございます。 次回をお楽しみに・・・・・・・2009年3月掲載 |
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