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(漁師町・セジンブラ)
Portugal Photo Gallery --- Sesimbra
☆セジンブラの説明 (写真の上をクリックすると大きな写真が見れます。)☆
リスボンから、気軽にいける素朴なリゾート地である。
アラビダ半島の南岸、アラビダ山脈を背後に控えた漁業の町である。
夏には、青い海と降り注ぐ太陽を求め、リスボンっ子たちが訪れる。
新鮮なシーフードを味わいに訪れてみたい町である。
「ポー君の旅日記」 ☆ 漁師町のセジンブラ ☆ 〔 文・杉澤理史 〕
今日、2004年5月5日(水)は日本では〈子供の日〉だ。
当然、首都リスボンの空には鯉のぼりが舞う姿はない。 モーニングもそこそこにロシオ駅から地下鉄に乗り〈在ポルトガル日本大
使館〉に向かった。4回目の訪問だったが時間が早すぎ20分待った。9時
受付開始。ビルの受け付けカウンターでパスポートを渡し、エレベーターで大
使館フロア−で降り、更に受付でカメラを渡し、荷物は赤外線コンベア−装置
を通された。狭い資料室で館員の野口さんを待った。質素な部屋だった。
笑顔で現れた彼女は1年前より痩せて見えた。来年は日本に戻ると言う顔
が嬉しそうには見えない。3年で移動だ。早過ぎると思う。人員も少なくデ
スクワーク多忙でポルトガル各地を見て廻われない、だからふたりが羨まし
いとつぶやいた。
水戸黄門様みたいに歩きまわって、今のポルトガルの姿を知るのも大使館
の勤めだろうに。3年じゃ物足りないと思う。 「けいの豆日記ノート」 ポルトガルのシャンゼリゼと呼ばれているリベルダーデ通りはネクタイ族
が多いビジネス街。幅90m、長さ1500mのこの通りにはプラタナスが
生い茂り散歩道としてもリスボン市民を楽しませていた。
大使館を出て新緑のプラタナスを見上げながら広い歩道を下る。 運がいいのか相棒(犬)の勘がさえているのか、路面電車沿いに間口は 狭いが奥行きのある洒落たカステラ専門店のカフェを難なく見つけた。 店内はサラリーマン客でいっぱいだった。 日本の〈モーニング喫茶〉的雰囲気があった。客には日本人の姿はない。 この地に溶け込み、この地の人々の憩いの場として定着していると判断した。 相棒は紅茶とカステラを頼む。286円だった。日本人の女将さんに事情を 説明し、撮影の許可をとる。 〈ポルトガルカステラ〉作りに苦労してあみ出し自信をもってこのリスボンで 念願の店をオープンさせたということだった。 カステラを相棒からひと切れもらって食べてみた。何処かで食べた味だった。 虎屋のカステラで知った味でもない。このコク、このふっくらさ、このこの繊 細な甘さ、この歯ざわり、このとろけぐあい・・・。 この、ポルトガルカステラの味覚を思い出した。 岐阜県の恵那市岩村町に今もポルトガルカステラを寛政8年(1796年) からその技を守り続けている店がある。松浦軒本店だ。今でも城跡が残る岩村 藩時代、長崎に医師の学問を学びに行っていた藩の若者がカステラの旨さに感 動し藩にその技を持ち帰ったそうだ。それが岩村に代々受け継がれ今日にいた っていた。 そのポルトガルカステラの味をポーが知ったのは20年前だった。 その味覚がリスボンでよみがえって来た。あの味、あの旨さだった。 帰り際[愛しのポルトガル写真集]を撮影のお礼にもらっていただく。 〈パウロ〉の女将は店のお客さんに見ていただきますと喜んでくださった。 「けいの豆日記ノート」 店を出たら薄日が射してきた。 ここでも、相棒のひらめきで次ぎの行動に移った。なにせ、ポルトガルを散 策するのは今日しかない。 『セジンブラに行ってみようか』 午前11時だ。好きなようにさせたかった。来年も来る確約はないのだから。 ポルトガル最後の日は大西洋の海を相棒は観たかったのかもしれない。 大西洋の海水浴場でもあり、ポルトガル漁獲高のトップを競う漁業の町が 〔セジンブラ〕であった。テージョ川にある船着場までカステラ喫茶パウロか ら10分もかからない。ひとり0.6ユーロ(80円)。対岸のカシ−ジャス の町に渡った。そして、バスで一時間、岩が目立つ山を越えて目前に青い海が 広がり、その手前に斜面の町がある。セジンブラだった。 アラビダ山脈を背景にした町であった。 バスターミナルから大西洋までは眼の先の距離だった。 海に向かって坂道の石畳を歩いて行くと小さな公園があり、黄色い花が咲く 樹木の廻りを緑色のベンチが囲んでいた。ここでも、最初に出会うのはおじい さん軍団。おばあさんに比べおじいさん達は少しばかりどこの地でもお暇なよ うだ。 ベンチで語らうおじいさん4人を撮影した後、オブリガ−ダ!と礼を言い、 何時ものように相棒はひとり一人に折り鶴を差し出した。 これは鳥か? グロウ?鶴は見たことがない! コウノトリに似ているのか! 日本から来たのか! ナカダは知り合いか? いい話し相手が舞い込んで来た とばかりにおじいさん達に捕まり、相棒はてんてこ舞いだった。この場を治め るにはこれしかない。ハーイ!こっちを見てー!ハーイ、チーズ!パシャッ! おじいさん達の笑顔と相棒の笑顔の記念写真がフイルムに焼きつき、残った。 「けいの豆日記ノート」 公園の近くにちいさな教会が見えた。
20人ほどのおばあさん達が正面祭壇にある十字架に張付けられた等身大の
キリスト像に向かって祈っていた。ぼさぼさの長い髪と髯は黒く上半身キズだ
らけの裸に腰には布が巻かれ生々しい姿であった。こんな祭壇のキリスト像は
初めて見た。写真家も同じ気持ちらしく、キリスト像に釘づけだった。 腹が減った、2時。ボンバルデス広場にはレストランが並ぶ。
高そうなので路地裏に入ったら、炭火で魚を焼くおじさんがいた。
煙に、魚を焼くあの新鮮な香りが混じり、鼻に染みこんできた。
久しぶりのジュウジュウと焼ける音にメロディーすら感じた。
♪さかな、魚、魚を食べリャ♪のCMの唄はまだ当時なかったが、そんなメ
ロディ−が聞こえてきそうな雰囲気があった。勿論、相棒のシャッター音が鳴
っていた。 「けいの豆日記ノート」 バスターミナルに向かう途中に幼稚園があった。 周囲を高い金網で張り巡らされた庭で子供達が遊んでいる。大切な子供を 預かっているのだから当たり前なのだが、日本の場合はここまで徹底してい ない。治安のいいポルトガルでこの配慮だ。日本もちょっと前までは治安の いい国だと言われていたが、最近は子供がらみの事件が多すぎ心が痛い。 バスに乗ってフェリーに揺られて、リスボンに戻ったのは夕方5時過ぎだ
った。ポルトガル最後の夕食はリスボンの老舗の日本料理店〈Novo Bonsai〉
で食べることに決めていた。
相棒の先輩Yamasugaさんには明日早朝帰国するので7時に横地さんの店に
行っていると携帯の留守電に報告しておいた。 *「地球の歩き方」参照*
終わりまで、旅日記を読んでくださり、ありがとうございます。 次回をお楽しみに・・・・・・・2007年11月掲載 |
『2004年版 ポー君の旅日記』は、今回で終了です。ご愛顧ありがとうございました。 |
・・・ポルトガル写真集・「路面電車のリスボン」はこちらからどうぞ
・・・ポルトガル写真集・「愛しの日本食のリスボン」はこちらからどうぞ
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