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(ポートワインの里・ペソ・ダ・レグア)
Portugal Photo Gallery --- Peso da Regua 1
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☆ペソ・ダ・レグアの説明 (写真の上をクリックすると大きな写真が見れます。)☆
ポルトの、サン・ベント駅から、列車で2時間ほど走ったところにある。。
ラメーゴに行く時は、ペソ・ダ・レグアでバスに乗り換えて40分ほどでつく。
ドウロ川上流の山あいの町は、ブドウ園に囲まれたワインの産地である。
ここで、作ったポートワインの地ワインは、おいしいと定評がある。
ワイン通には、たまらない町だ。とにかく地ワインがうまい。
「ポー君の旅日記」 ☆ ポートワインの里・ペソ・ダ・レグア ☆ 〔 文・杉澤理史 〕 2004年4月20日(火)、〔ラメーゴ〕のバスターミナルで折りたての鶴 を頭の上で左右にふるおばさんたちに見送られ名残惜しかった。 〔ポルト〕に帰る列車に乗り換える途中の町〔レグア〕には、45分で着いた。 気持ちのよい青空が広がっていた。 レグアは山岳地帯に広がるブドウ畑をバスで走り下ると、川幅の広いドウロ 川沿いにこじんまりと根を張ったような町であった。 スペインが源のドウロ川は、ここポルトガル北部の山岳地帯を流れポルトの 町から大西洋にたどり着く全長925kmの恵みの川である。 バスターミナルから川沿に立ち並ぶ高層ホテルを眺め、レグア駅の時刻表で
ポルト行きの時刻を確認しキップを二枚買って一呼吸した相棒。
『列車が出るまで2時間30分あるからこの町で昼飯を食べていこうか』と地
図も資料もない予定に汲み込んでいなかった町の散策に嬉々と歩き出した。
なだらかな坂道をドウロ川沿いの下流に向かってくだる。 「けいの豆日記ノート」 なだらかな坂道を更に下っていくと、ドウロ川に小船が浮かび、その対岸に ブドウ畑が広がっていた。小船はポルトでも見たワイン樽を載せたラベーロと いう帆船であった。この船でワインの原酒を積みドウロ川を下ってポルトまで 運んだそうだ。(今はトラックで運ぶため使っていない) ドウロ川上流のこの地帯は昔からポルトガルが世界に誇るポートワインの産 地で、伝統的なワイン製造方法が2001年に世界遺産に登録されていること を知った。【トリズモ(観光案内所)で地図と資料をもらい、辞書を引き引き 知った】また、レグアはポートワインの集積地として発展してきたアルト・ド ウロ地域の中心地であり、夏はここからクルーズ船もでるヨーロッパ各地から の観光客で賑わう町であることも知った。この情報を知らなかったので旅の一 泊地に入れてなかった。 太陽を浴びたアズレージョ(タイル画)が、道のわきに並んでいた。 ブドウ畑で人々がブドウの収穫をし、ワインを作る過程を描いていた。 観光地の看板としては洒落(しゃれ)ていた。風景を壊していなかった。 「けいの豆日記ノート」 更に下ると、旧市街地があった。小さな教会の前でふたりの子供がめんこを して遊んでいた。あれっ、学校に戻らなくてもいいのかな?と思ったが、話せ ないから聞けないもどかしさ。相棒のシャター音が鳴り出していた。 相手のめんこに打ち込んで裏返せば勝ち。日本と同じルールだった。これな らポーにだってできる。めんこに興じたうん十年前の血が騒いだ。あの頃のめ んこの絵柄は戦国時代の鎧兜(よろいかぶと)の侍だったり、相撲や野球、そ れに漫画の〈憧れの有名人〉だった。そして競う舞台は石畳やアスファルトで はない赤土の道路だった。子供達を口説いて?ポーは挑む。ぺったぺったと裏 がえしの連続技にふたりの少年の瞳は驚嘆と尊敬の輝きに変わった。〈すごい な!〉〈まあね!〉相棒が撮影のお礼に折り鶴をふたりに一羽ずつあげた。 〈グロウ?!〉『そうよ、鶴!よ』ふたりの瞳がきらきらと嬉しげに笑む顔の 輝きが心地よかった。 日本の子供達にこんな笑顔が残っていたかと考えさせる瞳の輝きだった。 腹が減ったのでレストランを捜す。列車が出るまで1時間を切っていた。 子供達と別れた先には旧市街地が開けていたが深追いすると列車に間に合わ ない。ぐずる相棒を断念させて、まずは腹ごしらえが先だ。来た道を戻りなが らレストランを捜す。川沿いのメインストリートのレストランは高そうなので 丘側の路地に入った裏道で〈食堂風のレストラン?〉を相棒が見つけ入った。 『旅は気まぐれ、お腹はペコペコ』とつぶやいて相棒は店のドアを押した。 「けいの豆日記ノート」 階段を上った2階(こちらでは1階になる)が食堂だった。 何を頼んだのか思い出せないが、グラスワインの美味しさだけが残った。 ポートワインの原産地。ここで赤ワインを注文しないのは男の恥だと相棒に 直訴して、注文を聞きに来た瞳の黒目がクルクルとまわる可愛い二十歳代の女 性に『ポートワイン、ヴェルメーリョ(赤)』とポー。相棒がクククと笑った。 あのね、ポーだって赤と白(ブランコ)ぐらいのポルトガル語は覚えて来たぜ、 ワインを飲みたいからね!そして、運ばれてきたグラスワインの赤ワインは窓 辺から差し込む陽射しを浴びて宝石のように輝き、美しかった。ルビーの優し さだった。一口飲んで、舌の上でルビーが柔らかく消えた。心もとろけた。 こんな赤ワインを飲んだことがなかった。相棒にお願いした。もう一杯飲ま せて下さい!『セブンアップ1瓶0・8ユーロ、グラスワイン1・25ユーロ (163円)よ、まっいいか!』〈おねえさ〜ん!お代わり!〉 ここからが問題だった。会話が出来ない悲しさであった。二杯目を運んでく れた彼女に、この至福のワインの銘柄を聞いた。差し出したメモ帳に書いてく れたのは、ワイン樽の絵だった。〈ポートワインだっていうのは分ってるよ。 このワインの銘柄を知りたいの。ね、ね、教えてお願い!〉彼女は自分が描い た絵を指すのみ。〈ほら、作家の檀一雄が愛飲したダオンだとかさ、ワインに は銘柄があるじゃん、それを知りたいのよ、ね、教えて!ね、ね、ね!〉 ほとんどアル中模様。『ここの家の、自家製ワインじゃないの。だから名前 がないのかもよ。オブリガーダ!』と、相棒は彼女に折り鶴を1羽渡して礼を 言った。折り鶴を見つめる彼女の顔に、ルビーのような美しい笑顔が弾けた。 「けいの豆日記ノート」 走った。列車の出発まで15分しかなかった。なだらかな坂道を心臓バクバク
になって、走った。銘柄問答タイムがロスタイム。改札口を通った先に列車が
いた。間に合った!
2時間かけてポルトに戻った。ドウロ川沿いを走る列車の車窓は快適だった。
水を満々と流すドウロ川はポートワインを生みだす斜面の大地に根ずくブドウ
畑の命を守り育て、運搬の道になり世界遺産となったワインを誕生させてきた。
豊かな自然の力が至福のワインを神が与えてくれたのだ。 *「地球の歩き方」参照*
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