「ポー君の旅日記」 ☆ 巨大修道院マフラ ☆ 〔 文・杉澤理史 〕
3度目のポルトガル。2月下旬の雨だった。
ポルトガルの旅を続けて17日目、少し疲れがたまりかけてていた。
雨のカステロ・ブランコから3時間バスに揺られ、写真家はリスボンに着くまで眠り続けていた。
「けいの豆日記ノート」から
リスボンに着いたら、やっぱり雨。
リスボンに1日早く着いたので、マフラに行ってみることにした。
ガイド本をみていたら、マフラ修道院がすごいらしい。
バスの本数が1時間に2本もあり、今までの1日1本〜2本の世界から急に都会に来た感じがした。
リスボンを駆け巡るのに便利なのが地下鉄(メトロ)。
写真家けいちゃんはこの地下鉄4線を制覇してくれた。
ポーは乗り換えの駅での乗車下車時はいつも後追い状態だった。
2年前に初めてオビドスにいったバスターミナルのカンポグランデ駅に向かう。
地下鉄の終点駅でもあった。
「けいの豆日記ノート」から
バスの出発まで30分ほどあったので遅い昼食を食べることにした。
ターミナルのカフェのカウンターで、ハンバーガーを食べた。
レシートをみてびっくりだ。1つが3ユーロもした。
400円もするハンバーガーを食べてしまった。
日本では安いと決めていたのが間違っていた。
昨日、カステロ・ブランコで食べたハンバーガーとポテトと飲み物セットが2.6ユーロだったので、
1ユーロくらいかなと思ったのに!
マフラはリスボンの北40キロ、バスで1時間25分。
マフラ修道院前のバス停で降りる。
巨大な建物に威圧された。
全容がカメラに収められないほどだった。
「けいの豆日記ノート」から
バスを降りたとたん、帽子が風で飛ばされた。
水たまりに落ちなくてよかったよ。
目の前には雄大なマフラ修道院が広がる。
全体がカメラに入りそうにない。
雨がパラパラ降ってきたので建物に飛び込む。
入館料は3ユーロ。
高いかなと思っていたが中に入って安いくらいだと思った。
マフラ修道院は宮殿・修道院(有料)と、礼拝堂(無料)の巨大建物だった。
礼拝堂のドームは高さ70メートル。バロック様式の内部は圧巻だ。
マフラ修道院は子宝の祈願達成で建てられた。
世継ぎに恵まれなかったジョアン5世は修道院の建築を条件に神に祈願した。
その結果か、王妃が誕生。
約束どうり1713年から13年の歳月と5万人もの労働力で完成した。
当時の植民地ブラジルはゴールドラッシュ。
その大量の金や、植民地の物産がポルトガルに集まった。
その資金とマフラ周辺から産出する大理石を惜しみなく使って建造したのだ。
それが今も、そのまま残されていた。
「けいの豆日記ノート」から
礼拝堂の入り口でフィルムが終わったので交換。
フィルムがリュックの奥に入っていたので、雨で使わない一眼レフのカメラをとりあえずだして、大理石の棚に置いた。
30分ほど撮影して次に移動しようと入り口を通ったときポーがいった。
「あれ、けいちゃんのカメラじゃないの?」
ギャー!しまうの忘れてた!
何十人も人の出入りがあったはずなのに、カメラはその場所にあった。
持って行かれてもしかたがない状態なのに、そのまま残っていたのは神様が見守っていてくれたのだろうか。
アーメン!感謝感激あめあられ!(キリスト教徒になった一瞬)
信じられないカメラ置き忘れ事件であった。
そのままあったのが不思議だ。
帰りのバスの時間が迫っていた。雨はやんでいた。
バス停でけいちゃんの折り紙教室がはじまった。
7人の女性がバスを待っていた。
時間があると撮影時のお礼に渡す〔折り鶴〕をどこでも折っていた。
瞬時に一枚の紙が鶴になるのを見ていたおばあさんが作り方を教えてほしいという仕草をした。
もちろん、喜んで教えた。
できた鶴におばあさんは目を輝かせて礼をいってくれた。
その輪がバスの中まで持ちこまれ、一人一人にけいちゃんは親切に指導。感謝された。
カメラが無事だったお礼の気持ちがけいちゃんから感じ取れた。
バスは夕方迫るリスボンに向かっていた。
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